高温環境における皮膚温分布の検討
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概要
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ヒトの耐熱性測定の一方法として,被検者を37℃の温湯中に一定時間浸す方法(温浴法)が提唱されている。この方法では,環境条件の設定,平均皮膚温の算出が,きわめて簡単容易になるが,皮膚温が強制的に均一化されるために,あるいは真の耐熱性が測定されないおそれがある。著者らは,温浴法の妥当性を検討する目的で, 2人の男子被検者を室温27〜38℃の種々の温熱環境下に,裸体で1時間滞在させた後に,舌下温並びに額,胸,背,前膊伸側,大腿前面,下腿後面の皮膚温を測定して,以下に示す結果を得た。1) 比較的低温な環境にくらべ,高温環境下では,皮膚温の個人差が,すべての部位で小さくなる。2) 高温環境では,皮膚温の部位的相違は,一般に小さい。ただし,室温27.5〜38.0℃の範囲では,室温が高くなるにつれて,皮膚温の部位的相違が小さくなるとはいえない。3) 舌下温並びに6ヵ所の皮膚温からなる相関行列を因子分折した結果,各部位の変動の大部分が一つの共通の因子によって左右されていること,舌下温の変動には,皮膚温を変動させる因子以外の別の因子が働いていることを認めた。以上,高温環境下における皮膚温の分布状態を検討した結果では,温浴法よる耐熱性の測定で,皮膚温を強制的に均一化することが,耐熱性の検討の大きな障害になるおそれはないと推測できる。
- 日本衛生学会の論文
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