健常成人の味覚識別能に関する研究 : 喫煙との関連性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一地域住民38歳∼84歳の924名のうち,味質脱失者19名を除いた905名を対象とし,滴下法を用いて味覚検査を行った。味質は甘味:精製白糖,塩味:塩化ナトリウム,酸味:酒石酸,苦味:塩酸キニーネの4種に限定し,以下の結果をえた。味覚識別能は4基本味質のいずれも,女性が男性より敏感に識別していた。また,男女とも味覚識別能検査値は,70歳代で最も鈍化し,80歳代ではやや敏感になる傾向など,加齢による変化を認めた。また,総入歯群と義歯なし群や部分入歯群とを比較したが,義歯の状態による味覚識別能に対する影響は認めなかった。喫煙による味覚識別能の影響は,喫煙量(本/日)の増加にともない,男女とも味覚識別能が鈍くなる傾向にあり,味覚識別能における性差は無くなった。塩味,酸味の識別能は喫煙量の増加にともない,男性が女性より敏感に識別し,性差が逆転したが,喫煙量の増加に従い鈍化する傾向は一致した。さらに,味覚識別能に影響を認めた性,年齢を考慮した多変量解析を行った結果,喫煙量の増加にともない味覚識別能は鈍くなる量-反応関係が明らかとなった。その影響の強さは,苦味,酸味,塩味,甘味の順であった。
著者
-
伊藤 宜則
藤田学園保健衛生大学医学部衛生学教室
-
佐々木 隆一郎
名古屋大学医学部予防医学
-
青木 國雄
名古屋大学
-
大谷 元彦
藤田学園保健衛生大
-
蓑原 美奈恵
藤田学園保健衛生大学医学部衛生学教室
-
青木 國雄
名古屋大学医学部予防医学教室
関連論文
- 鉛曝露作業者の末梢手指血流量および血清過酸化脂質関連物質
- 残胃癌の統計的および臨床病理学的研究 : B-II法残胃の癌発生リスクについて
- 6.鉛暴露者の血中鉛量と血中バナジウム量との関連性(昭和59年度東海地方会)
- 423 日本と中国の肺癌発生における組織型と年齢分布の差異に関する検討
- パーキンソン病の症例・対照研究 : 喫煙と性格
- 7.女子従業員の血清鉄量と血清亜鉛量について(昭和59年度東海地方会)
- 学際的に見た慢性細菌性感染症とがん
- 学際的に見た慢性細菌性感染症とがん
- メニエール病全国調査の解析 : 第一次調査, 第二次調査からの患者数の推計と性, 年齢別分布
- 難病患者の受療動向に関する研究
- 健常成人の味覚識別能に関する研究 : 喫煙との関連性について
- 隈部英雄
- 年齢構成標準化平均死亡年齢よりみたわが国の主要死因別死亡年齢の推移
- 北海道某地域住民の血清カロテノイド,レチノールとトコフェロール値への喫煙,飲酒および食品摂取の影響
- 学際的に見た慢性細菌性感染症とがん
- Zr化合物の細胞毒性に関するin vitroにおける実験的研究-1-
- 地域集団における無症状胆石の疫学的研究
- 日本と中国における地域住民の血清カロチン量の比較
- 健常成人における血清α-およびβ-カロチン量への飲酒量と喫煙量の影響〔英文〕
- タイトル無し