金属マグネシウム中の全酸素の定量法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
金属マグネシウム中の全酸素の定量法について研究した.まず,従来の金属中酸素分析法のマグネシウムへの適用性について検討した結果,反応性の過少あるいは妨害を伴うなどの難点のために適用困難であることを認めた.次に塩素または塩化水素と炭素の組合せなどによるマグネシウムの塩化を考察し,金属マグネシウム中全酸素の定量にには試料を塩化水素で塩化し,反応生成ガスを炭素還元する方法(塩化水素-炭素還元法)が適用できるものと推定した.<BR>次に塩化水素-炭素還元法に必要な装置の各部につき実験的に考察し,実用に適する装置を試作し,また,えられた装置との関連においてブランク値の測定条件を明らかにした.<BR>次に塩化水素-炭素還元法の実用性を明らかにするために,金属マグネシウムに無機物型の酸素(各種金属酸化物)とガス型の酸素(酸素,一酸化炭素,……)のおのおのを添加し酸素の回収実験をおこなった.その結果いずれも約100%の酸素回収率を示し,本法が金属マグネシウム中の全酸素の定量法として適用できることを認めた.えられた方法の骨子は次のとおりである.すなわち,黒鉛ボート(粉末炭素1gをしく)に試料2gを入れ塩化水素気流中900℃で塩化し,白金内張した反応管部に充テンした白金-炭素層(1000℃)で反応生成ガス中の酸素化合物を一酸化炭素に還元する.のち,過剰の塩化水素を液体酸素凍結とアルカリ吸収で除去し,一酸化炭素をHI<SUB>3</SUB>O<SUB>8</SUB>で二酸化炭素にかえ,重量法により二酸化炭素を求めて全酸素を算出する.<BR>本法の分析精度(σ%)は酸素0.03%水準で約8%(Table IV),分析下限は0.01%,分析所要時間は約100分である.<BR>なお,本法による金属マグネシウム中の全酸素の分析値と湿式法による金属マグネシウム中の酸化マグネシウムの分析値の比較から,金属マグネシウム中の酸素は主として酸化マグネシウムの形態で存在するものと思われる.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
関連論文
- 金属チタンおよび四塩化チタン中の全チタンの定量法
- 発光分光分析
- 無機ならびに有機元素分析法の展望
- 有機物中の微量金属元素の定量分光分析法
- ガスクロマトグラフィーによるα-,β-,γ-およびδ-B.H.C.の定量法 : 農薬分析法の研究(第1報)
- 金属マグネシウム中の全酸素の定量法
- 統一定量法による無機物中炭素,水素,窒素,イオウおよびハロゲンの定量 : 無機物中非金属元素の統一定量法(第2報)
- 無機物中非金属元素の統一定量法およびその装置に関する考察 : 無機物中非金属元素の統一定量法(第1報)
- 新しい有機炭水素定量装置 : 有機微量分析に関する研究(第4報)
- ジルコニウム中の不純金属元素の定量分光分析法
- 炭水素分析法の迅速化および簡易化について : 有機微量分析に関する研究(第3報)
- 金属チタン中の全イオウの定量法およびチタンによるイオウ化合物の分解
- 炎光分光分析法による中性洗剤,乳製品中の食塩の定量法
- 四塩化チタン中の炭素と水素の同時定量法
- 金属材料のサンプリングについて
- 化学及び金属工業における発光分光分析の応用
- 非鉄金属地金の発光分光分析法の進歩
- チタン中の塩素の迅速重量法