2-ピリジンアルダジンによる鉄(II)の吸光光度定量法 : ピリジン2置換体の分析試薬としての研究(第3報)
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概要
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2-ピリジンアルダジンは鉄(II)と反応して2種類の錯体を生成することが報告されているが,ヒドロキシルアミンの共存下ではさらに感度が高く安定なとう赤色錯体が生成することを見いだしたので,これを鉄(II)の吸光光度定量に応用するための諸条件を検討した.pH4.2でヒドロキシルアミンの共存下で生成する錯体の吸光度を480mμの波長を用いて測定することにより0.1〜2ppmの鉄(II)が定量可能である.<BR>2-ピリジンアルダジンと鉄(II)との反応につき,各種還元剤の影響を検討にた結果,ヒドロキシルアミンの共存下でとう赤色の安定な可溶性錯体を生成することを見いだしたので,これを吸光光度定量用試薬として利用するための条件を求めた.硫酸ヒドロキシルアミンを加え,pH4.2に調製後20分以上放置したのち,480mμにおける吸光度を測定して作成した検量線は0.1〜2ppmの範囲では直線関係を有する.また共存イオンの影響を検討にた結果,銀,アルミニウム,バリウム,カルシウム,マグネシウム,亜鉛,青酸,酒石酸,クエン酸,リン酸は100倍量,ビスマス,鉛,ストロンチウムは30倍量,第一水銀,第二水銀は20倍量,銅,モリブデン酸,ニッケルは10倍量,シュウ酸は5倍量以下の存在ならば妨害しない.しかし,コバルトのみは著しく妨害するので共存は許されない.<BR>この2-ピリジンアルダジン法では鉄1ppmの吸光度は0.150(10mmセル)であり,感度はチオシアネート法より高く,2,2-ジピリジル法にほぼ等しいが,1,10-フェナントロリン法より少し低い.しかし試薬ならびに呈色体は安定であり,共存イオンの影響も比較的少ないため,こん跡成分の定量用試薬として実用性があると思われる.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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