アンモニウムイオンの近赤外吸収スペクトル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近赤外吸収スペクトル法によりアンモニウムイオンを分析,定量するため,各種のアンモニウム塩を重水または非プロトン性極性溶媒に溶解し,近赤外部に生じるNH<SUB>4</SUB><SUP>+</SUP>の分子振動に起因する吸収帯を測定,検討した.<BR>重水溶媒は塩の溶解度が大きくN-Hの倍および結合振動による吸収を高濃度で測定することができるが,D〓Hの交換により水が生じ吸収スペクトルに現われること,および重水の倍振動吸収が1.98μに生じ,そのため1.85μより長波域は正確なスペクトルが得られないなどの欠点がある.ジメチルスルポキサイドなどの非プロトン性極性溶媒は無機塩の溶解度に限りはあるが,アンモニウムイオンの倍および結合振動による吸収帯を測定することができる.ν<SUB>1</SUB>およびν<SUB>3</SUB>の第1倍振動吸収は溶媒のC-H倍音吸収と重なる1.7μ近辺に生じ,正確な値は得られない.しかし結合振動による吸収,ν<SUB>2</SUB>とν<SUB>3</SUB>は2.050〜2.055μに生じ,ν<SUB>3</SUB>とν<SUB>4</SUB>およびν<SUB>1</SUB>とν<SUB>4</SUB>は同一吸収帯として2.185〜2.200μに観測され,その分子吸光係数は前者は約1.4,後者は溶媒により異なるが2.5〜3.5の値が得られ,アンモニウムイオンの分析に使用できることを明らかにした.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
関連論文
- 高速液体クロマトグラフィーと赤外粉体反射スペクトロメトリーとの結合測定法
- 固体の吸収スペクトル測定法 : 第2講拡散反射法
- 近紫外,可視及び近赤外測定用フーリエ変換分光システムとその測定法
- JIS標準物質通則について(JIS紹介)
- アンモニウムイオンの近赤外吸収スペクトル
- 溶融塩吸収スペクトル測定用高温セルの試作 : ニッケルおよびコバルト塩化物の吸収スペクトル
- 近赤外領域の光度滴定(その1) : 水酸基のアセチル化を利用する定量
- ジスプロシウム,エルビウムおよびツリウムの近赤外吸収スペクトル
- 吸光光度定量における波長の選定のための-資料
- スクリーンフィルター示差法による重水中の軽水の定量
- ニッケルおよびコバルトの近赤外吸収スペクトル
- プラセオジムの近赤外吸収スペクトル
- テルルの分析法
- 有機溶媒による無機塩中の水分の分別定量法
- 無機塩中の全水分の測定