溶融塩吸収スペクトル測定用高温セルの試作 : ニッケルおよびコバルト塩化物の吸収スペクトル
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概要
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溶融塩の吸収スペクトルを測定するため,Cary 14M型分光光度計に付属して使用する性能のよい高温セルを設計,試作した.本装置は従来の高温セルに比べ温度制御を容易にし,炉内の温度分布をできるだけ少なくし,±0.5%の温度差で室温から800℃の任意の温度で測定できる.<BR>加熱時におけるふく射光は350℃以下では無視できる.それ以上の温度では対照側の炉を用いて補償し,高温時においても紫外部から近赤外部の吸収スペクトルを正しく測定できるようにした.<BR>この高温セルを使用して塩化リチウム-塩化カリウム易溶融塩に塩化ニッケルおよび塩化コバルトを溶解し,その吸収スペクトルを0.3〜2.5μの波長範囲で,それぞれの温度変化を360〜700℃の間で測定した.その結果,両者とも390℃以下の温度域では溶媒塩のsinteringの影響により異常なスペクトルを与えるが,400℃以上の温度ではコバルトは一定の錯体として溶融塩中に存在しスペクトルは安定する.しかし,ニッケルの第1吸収帯は390〜490℃の間で吸収ピークの変動が測定される.これは光学的に区別できる2種類以上の錯体がこの温度域では存在し,その量(平衡)が温度によって変わる,いわゆるthermo chromismの現象であることを明らかにした.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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