揮発性および不揮発性有機酸のガスクロマトグラフィーによる同時定量のためのブチルエステル化 : 食品中の有機酸の分析法に関する研究 (第4報)
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概要
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揮発性および不揮発性有機酸をガスクロマトグラフィー (以下GCと略記) で同時に分別するため, 前報ではこれら有機酸のブチルエステルを 20% シリコーン DC 550 のカラムを用いて分別しうることを報告した.今回は, 有機酸混合物を効率よくブチルエステル化する方法を検討し, その最適条件として次のような結果を得た.<BR>有機酸混合水溶液をフェノールフタレインを指示薬として水酸化ナトリウムで中和し, 共せん付き試験管に移し, 45℃ で減圧乾固する.こうして得た有機酸ナトリウム塩にブタノール 2m<I>l</I>, 濃硫酸 0.2m<I>l</I>, 無水硫酸ナトリウム約 2g を加え, 冷却管を付して30分間穏やかに沸騰させてエステル化する.冷却後 5m<I>l</I> の<I>n</I>-ヘキサンを用いて冷却管を洗い, 水 5m<I>l</I> を加える.よく混合して生成したエステルを <I>n</I>-ヘキサン 5m<I>l</I> で抽出し, ヘキサン層をコマゴメピペットを用いて 20m<I>l</I> 容メスフラスコに移す.さらに3回ヘキサン 5m<I>l</I> ずつで抽出し, <I>n</I>-ドデカンを内標準として加え, ヘキサンで全量を 20m<I>l</I> とし, 微量に混在する水と硫酸を除去するため, 少量の無水炭酸ナトリウムを加えて濾過したのち, その 4μ<I>l</I> を GC 分析に供する.<BR>この方法によって得ら前た有機酸のエステル化率は, ギ酸 94%, 酢酸 95%, プロピオン酸 98%, 酪酸 98%, 乳酸 101%, シュウ酸 93%, フマル酸 96%, リンゴ酸 99%, 酒石酸 99%, クエン酸 97%であった.<BR>なお, エステル化の際にジブチルエーテルが生成し, 酢酸とプロピオン酸の間に大きなピークとして現われるが, 有機酸エステルの分析には影響しない.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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