急性腎不全におけるβ2-microglobulinの測定とその臨床的意義
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概要
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急性尿細管壊死(ATN)20例,一次性あるいは二次性急速進行性糸球体腎炎(RPGN)8例,腎後性急性腎不全4例の計32例について,種々の臨床的パラメーターと共に発症早期より経時的に血中・尿中β2-snicroglobulin (BMG)の測定を行なつた.その結果発症初期の著明な血中BMGの上昇は急性糸球体障害を,著明な尿中BMGの高値は急性尿細管障害を示唆する所見と考えられ,発症早期の血中・尿中BGMの測定は急性腎不全の主たる腎病変部位の推測に有用と考えられた.またATNにおいて,血中BMGの経時的測定はその急速な下降によつて利尿期への移行の時期を知らしめる有用な指標となり,逆に回復期にはcreatinine値が正常化しても血中BMGは軽度上昇を持続し,より感度の高い腎機能回復の指標となると考えられた.また急性腎不全症例と比較検討する目的で,慢性腎不全の心不全による急性増悪症例で急性腎不全とまぎらわしい臨床経過を示した6例についても同様の検討を行ない,その結果血中BMGの経時的測定は両者の鑑別にも有用であると考えられた.さらに血液透析による血中BMG測定値への影響についても,合わせて検討を行なつた.
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