慢性腎不全患者における肺外結核の特性に関する疫学的検討
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概要
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腎不全患者のごとき生体防御能の低下した患者では,結核の肺外散布が起こり易いであろうと推測されている.そこで透析患者における肺外結核症の様相につき,疫学的検討を行なつた.対象は全国161施設7274名の透析患者で,そのうち肺外のみに病巣を有する結核患者は52人,肺外および肺に同時に病巣を有するもの27人,肺のみのもの58人であつた.全結核に対する肺外のみの結核の割合は透析患者男子で30%,女子で51%であり,一般住民に比べ男子で4.5倍,女子で2.8倍と著しく多かつた.全結核の罹患率を考慮すると透析患者の肺外結核罹患率は一般住民に比べ男子で38倍,女子で52倍と驚くほど高かつた.肺外結核の発病は透析開始直前から増加し,開始直後に最も高頻度となり,その後も頻度は高いが漸減した.これらのことより腎不全および透析は,肺外結核発病の誘因と考えられた.結核透析患者では結核の既往を有するものが多く,結核は再発によるものが多いと考えられた.肺外罹患臓器で最も頻度が高かつたのはリンパ節で以下腎・尿路と続き筋肉と脳実質を除き全身ほぼ全ての臓器が侵襲されていた.罹患臓器により患者の致命率が異なつており,致命性の高い臓器は結核菌に侵襲されにくいという関係が示唆された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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