慢性腎不全患者の結核症に対する易感染性および脆弱抵抗性に関する疫学的検討
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概要
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腎不全患者では感染症が頻発する.そこで感染症の多発と患者の生体防御能の関係を明らかにする目的で,透析患者の結核症を対象として疫学的検討を行なつた.対象は全国161施設7,274名の透析患者で,そのうち結核患者は150名であつた.透析患者における結核罹患率,有病率,死亡率,致命率は一般住民と比べ著しく高く,男子ではそれぞれ12, 5, 26, 2倍であり,女子ではそれぞれ23, 13, 80, 4倍であつた.平均有病期間は透析患者で一般住民のおよそ半分と短かつた.これらの傾向は女子で著しく,一般住民の場合,男子で著しいのに比べ逆の結果であつた.年令毎の罹患率は一般住民と異なり,透析患者では若年者でも高かつた.結核症の発症は透析開始12ヵ月前頃から増加し,透析開始とともに驚くほど増加し,ことに開始後3ヵ月間が著しかつた.またこれら結核透析患者では結核の既往を有するものが多く,再発症の可能性が考えられた.結核症では一般感染症の場合と異なり,透析治療時の諸操作による汚染など外因による影響がないと考えられるので,以上の結果は透析患者における生体防御能の低下を表わしているものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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