Creatine phosphokinase (CPK)の異常高値を呈し,臨床症状に極めて乏しかつた原発性甲状腺機能低下症の1例
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概要
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Creatine phosphokinase (CPK)が異常高値を呈したにもかかわらず,極めて臨床症状に乏しかつた原発性甲状腺機能低下症の1例を報告する.患者は46才の男性.ソフトボール大会後,左季肋部と両大腿部に筋肉痛を生じたため当科外来を受診した.理学的に甲状腺機能低下症を疑わせる所見はみられず,アキレス腱反射も亢進ぎみであつた.筋肉痛は1週間程度で自然に消失したが,外来受診時の血液検査において, CPK 3295IU/l(正常値0〜68IU/l;アイソザイムパターンBB<1%, MB 3%, MM 96%)と異常高値の他, GOT, GPT, LDHの中等度の上昇もみられたため,精査目的で入院となつた.入院後の検査では, T3レジンuptake 1.06, T4 1.5μg/dl, T3 0.3ng/ml, TSH605μU/mlの上に, TRH試験でTSHの過剰反応がみられた.また,甲状腺自己抗体100万倍,抗マイクロゾーム抗体25600倍であつたことから,原発性甲状腺機能低下症と診断した.診断確定後の甲状腺ホルモンの投与により,血清酵素の異常は速やかに改善したが,臨床症状に変化はみられなかつた.本例は,以下のような特異的所見を示した. 1)今日までに我国で報告されているCPKの上昇を伴つた原発性甲状腺機能低下症の症例中, CPKの値が最も高かつたにもかかわらず,臨床症状に極めて乏しかつた. 2)血清酵素の値や筋電図上からは,高度の筋障害が示唆されたにもかかわらず,筋生検像には明らかな異常所見はみられなかつた. 3)甲状腺生検像では,著明な線維化を呈し, burn outの状態にあつたが,甲状腺自己抗体は高値を示した.
著者
-
久保 善明
東京逓信病院
-
安藤 矩子
東京逓信病院内分泌代謝内科
-
川村 光信
東京逓信病院
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内藤 周幸
東京逓信病院
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宮崎 滋
東京逓信病院
-
林 洋
東京逓信病院
-
黄田 道明
東京逓信病院内科
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田中 美智子
東京逓信病院内科
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