肺機能と今日の臨床

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呼吸器疾患は過去20年間に結核症の著しい減少と相まつて,疾病も著しく多岐にわたり,その病態も多彩を極め,人をとりまく環境の変遷とも関連して複雑な様相を示すに至つている.これに対応して,呼吸器疾患の診断,病態の把握,予後の決定,治療の適応ならびに経過観察に,呼吸機能検査はrespirologyの中枢をなし,重要不可欠な役割を果しつつある,また呼吸器疾患のみならず,心,脳,さらには,消化器など他臓器における疾病の診断,治療に同様に重要な地位を占めつつある.本論文においては,慢性閉塞性肺疾患,肺線維症を中心とした呼吸器疾患の臨床における呼吸機能検査の役割について述ベ,ことに近年とみに進展をみせているsmall airway領域の疾病を対象とした新しい検査法の役割を,われわれが近年開発した検査法を紹介しながら解説した,その主なものは,フローボリウム,クロージングボリウム,動肺コンプライアンス,気道の過敏性自動判別装置,胸郭運動測定装置などである.一方ガス交換機能については,ことにCO肺拡散能力についてその意義,形態と機能との関係についても論及した.今後,呼吸機能検査はますます複雑化し,したがつてそれらを統合する自動化への道を進むと思われるが,将来の展望としては,被検者の努力を要しない,より客観性の高い検査法の確立と,それによる自動診断の確立が緊急を要する研究課題と考えられる.
社団法人日本内科学会の論文

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