内科疾患における免疫抑制とその意義
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概要
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免疫抑制現象は内科領域の諸疾患で種々の関連や意義をもつていることが,免疫学研究の進歩に伴つて明らかになりつつある.例えば加齢,悪性腫瘍,感染症,アミロイドーシスの病因論の立場で免疫抑制の関与が考えられ,また病態の面から,疾病自体によつて生じる免疫抑制状態に加えて,抗腫瘍剤,副腎皮質ステロイド剤を含む広義の免疫抑制因子による医原的免疫抑制は,宿主を免疫不全状態に陥れることもある.しかるにかかる免疫不全の実態は正確に捉えられていない.われわれは医原的免疫抑制の解析に,主な免疫抑制因子のリンパ系細胞に与える影響をT細胞, B細胞の分布の上からと,抗体産生能の面から検討しつつある.また免疫不全に伴う感染誘発の要因として免疫抑制因子が,リンパ球以外の細胞系,とくに好中球に及ぼす影響を検討している。これらの解析は免疫不全の病態の把握と共に,免疫不全の防止,さらには宿主免疫能,抵抗力の増強に役立つ治療法の開発に資するところがあろう.免疫不全の診断には各種の方法が試みられているが,われわれはPHA皮内反応が宿主免疫能低下の診断に簡易であるところから,その意義について検討した.一方自己免疫病の難治性から,免疫抑制療法が提唱されたが,現在までの成績からその効果の限界,副作用を反省して本治療法の適応を考察してみた.自己免疫病の治療には,特異的,選択的な免疫学的寛容を目指した新らたな治療法の基礎的研究が必要であろう.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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