肝膿瘍を伴つた赤痢アメーバ症の1剖検例
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概要
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肝臓の赤痢アメーバ性膿瘍は,本来亜熱帯性,又は熱帯性の疾患とされ,本邦では最近極めて稀な疾患となつたが,われわれは多彩な臨床症状を呈し,比較的長い経過を示し,外国での生活経験のないアメーバ性肝膿瘍の1例を経験した.患者は発熱,上腹部痛を主訴とし,肝腫大,著明な貧血,血沈値亢進,白血球増多, alk-P-aseの上昇があり,生前,肝膿瘍が確認され,その穿刺液よりチヨコレート様膿汁が得られ,アメーバ性肝膿瘍が推論されたが,下痢は全く無く,便,胆汁,膿汁検査にて,アメーバ原虫は発見されず,生前最終診断には致らなかつた.病理解剖により,廻盲部,肝,右肺のアメーバ感染が確認された.本邦にも,外地在住の経験が無いアメーバ性肝膿瘍の存在する事を明らかに示し,不明の肝疾患患者を診た場合,アメーバ性肝膿瘍も一応鑑別する必要のある疾患である事を示した貴重な1例である.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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山田 隆司
信州大学医学部老年科
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小島 章
群馬大学医学部第一内科
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露崎 和敏
群馬大学医学部第一内科
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石塚 敬太郎
群馬大学医学部第一内科
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七條 小次郎
群馬大学医学部第一内科
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金子 由之助
伊勢崎福島病院内科
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佐藤 和雄
群馬大学医学部第一病理
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七條 小次郎
群馬大学医学部
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