高Ca血症を呈したsclerosing hepatic carcinomaの1例
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概要
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症例は55歳,女性.主訴は腹部膨満感である.入院時腹水貯溜を認め,上腹部に腫瘤を触知した.肝シンチ・腹部エコー・腹腔動脈造影所見より原発性肝癌と診断したが,特異なことにS-Caの高値(11.8mg/dl)とS-Pの低下(2.3mg/dl)がみられ,その後S-Caの上昇によりIII度の意識障害が生じた,porcine calcitoninとステロイド剤の併用によりS-Caの低下ならびに意識の改善がみられたが,腹水の増強と黄疸の出現をみ,腎不全を併発し入院2.5カ月目に死亡した.経過中parathyroid hormone, 25-OH vitamin D<SUB>3</SUB>には異常は認められなかった.剖検上肝は2,450gと大きく硬変非合併肝癌であり,病理組織学的にOmataらのいわゆるsclerosing hepatic carcinomaであった.骨への転移はなく,副甲状腺は過形成を呈した.以上の臨床経過および病理解剖所見から本例はsclerosing hepatic carcinoma (Omata)とそのparaneoplastic syndromeとしての偽性副甲状腺機能亢進症併発例と考えられた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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松浦 博夫
社会保険広島市民病院病理
-
井上 純一
広島逓信病院 内科
-
井上 純一
社会保険広島市民病院内科
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野村 正博
社会保険広島市民病院内科
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中川 昌壮
社会保険広島市民病院内科
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藤井 信
社会保険広島市民病院内科
-
藤原 雅親
社会保険広島市民病院内科
-
柴田 醇
社会保険広島市民病院内科
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平本 忠憲
社会保険広島市民病院病理
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