多発性筋炎に対するステロイド投与中におきたHBVキャリアーの肝機能増悪に対しIFN療法が奏効した1例
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概要
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症例は28歳,男性.平成元年11月当科入院し,多発性筋炎,びまん性汎細気管支炎及びHBVキャリアーと診断した.多発性筋炎に対しプレドニン20mgで維持中の平成3年4月,トランスアミラーゼとDNA-Pの上昇を認め,HBVの活性化による肝機能の増悪と考えられた.組織学的には慢性活動性肝炎で,ICG 24.8%と悪化したためプレドニン20mg投与のままIFNα 600万単位投与を行った.IFNα投与開始後,トランスアミラーゼとDNA-Pは正常化し,多発性筋炎及びびまん性汎細気管支炎の悪化も認められなかった.その後もトランスアミラーゼ正常で経過している.IFN療法はステロイド投与に伴うHBVキャリアーの肝機能増悪に対し有効であった.また,我々の検索した限り多発性筋炎患者でのIFN療法の報告例はなく,多発性筋炎の悪化をきたすことなくIFN療法を行い得た本症例は貴重な経験と考えられる.
著者
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名和田 新
九州大学第3内科
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増本 陽秀
九州大学第3内科
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福富 崇能
九州大学第3内科
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酒井 浩徳
九州大学第3内科
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坂本 茂
九州大学第3内科
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永瀬 章二
九州大学第3内科
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佐藤 丈顕
九州大学第3内科
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杉村 隆史
九州大学第3内科
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佐藤 正明
九州大学第3内科
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辻 裕二
九州大学第3内科
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