内臓皮膚症候群として結節性痒疹を伴った肝細胞癌の1例
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概要
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肝細胞癌(HCC)の内臓皮膚症候群(dermadrom)として,結節性痒疹(PN)を合併した症例を経験した.症例は54歳,男性.HCCの診断とほぼ同時期に全身に激痒感を伴う結節が生じ,生検にて毛嚢部位で強い偽癌性変化がみられ,汎発型のPNと診断した.HCCに対して行った抗癌剤併用選択的肝動脈塞栓療法の治療効果に並行してPNの臨床症状が緩解増悪をみたことから,dermadromと診断した.本例のPNの病態は腫瘍の代謝産物または産生物質に対する反応性病変と考えられ,腫瘍の状態を臨床症状に反映するものであった.PNの合併はHodgkin病などで散見されるが,HCCのdermadromとしての報告はなく,一般臨床の場では見逃されている可能性もある.今後,HCCの診断,治療においてPNも念頭におく必要があるものと思われた.
著者
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千丸 博司
洛和会丸太町病院内科
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岡 正直
洛和会丸太町病院消化器内科
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武田 誠
洛和会丸太町病院消化器内科
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加嶋 敬
京都府立医科大学第三内科
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加嶋 敬
京都府立医大・三内
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岡上 武
京都府立医科大学 大学院医学研究科消化器病態制御学
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長尾 泰孝
京都府立医科大学第3内科
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杉浦 久嗣
洛和会丸太町病院皮膚科
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岡上 武
京都府立医大
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岡 正直
洛和会丸太町病院内科
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武田 誠
洛和会丸太町病院内科
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