肝硬変における上部消化管出血-剖検例の観察-
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概要
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肝硬変(肝癌合併例を含む)における上部消化管出血の実態を検討する目的で,死亡前の臨床所見と剖検所見を比較した.部検時に認められた上部消化管出血は54例中35例(64.8%)の高率であり,そのうち14例(25.9%)では同出血が直接死因であると判定された.ところが上記症例の死亡時より1カ月以前における上部消化管出血歴は5例(9.3%)にのみ認められ,予想外の低率であった.出血部位別の検討では,食道静脈瘤と胃・小腸の潰瘍や出血びらんが問題となり,肝癌非合併例では食道静脈瘤よりの出血が多いが,肝癌合併例では胃・小腸よりの出血が高率であった.腹腔内出血および胆道出血は肝癌合併傍のみに認められた.死亡前における吐下血の臨床所見と剖検所見の間には必らずしも一定の関係がなく,吐下血の症状のみから出血の部位診断は容易でないことを示していた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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