徳島大学における肝硬変剖検例の検討 : とくに肝組織内HB抗原との関連について
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概要
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昭和33年〜49年に徳島大学医学部病理学教室で剖検された1388例中,肝硬変の総数は130例(9.4%)で,そのうち115例は萎縮性肝硬変であった.萎縮性肝硬変のうち52例(45.2%)は肝細胞癌を合併し,一方肝細胞癌63例のうち萎縮性肝硬変を伴う頻度は82.5%(52例)であった.<BR>志方らの報告にならいアルデヒド-フクシン染色により肝組織内HB抗原の検索を行った.HB抗原の陽性率は萎縮性肝硬変61/113(54.0%),慢性肝炎7/43(16.3%),急性・亜急性肝萎縮症1/21(4.8%),肝細胞癌36/60(60.0%)であった.萎縮性肝硬変の三宅分類の各型におけるHB抗原陽性率は甲型11/21(52.4%),甲型11/16(68.8%),乙型35/63(55.6%),乙型4/13(30.8%)であった.萎縮性肝硬変の肝細胞癌合併例のHB抗原陽性率は32/50(64.0%),非合併例では28/60(46.7%)で,前者において著しく高かった.特に乙型においてその差は顕著であった(27/41, 65.9%:7/19, 36.8%).HB抗原の長期感染が肝細胞癌の発生に重要な役割をになっているのではないかと考えられる.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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大塚 久
徳島大学医学部病理
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赤木 郷
徳島大学第2病理学教室
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大塚 久
徳島大学第2病理学教室
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赤木 郷
徳島大学医学部病理第二講座
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野瀬 富夫
徳島大学医学部第2病理学教室
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赤木 郷
徳島大学医学部第2病理学教室
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赤木 郷
徳島大学医学部 第2病理
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大塚 久
徳島大学医学部第2病理学教室
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