腎細胞癌の臨床病理学的検討 : 特に組織像と予後との関係について

概要

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1962年から1979年に至る79例の腎摘出術を受けた腎細胞癌患者を病理組織学的に検討Lた。男性51例,女性28例であり,男女比は1.8:1であった。病理組織学的に次の如く4つに分類した。(1)Syrjaenの分類法に従い腫瘍細胞の核の状態に基づく異型度(glade),(2)細胞型(clear cell型,granular cell型,混合型,spindle cell型),(3)組織型(tubular型,solid型,cord型,papillary型),(4)腫瘍と周囲組織との境界の状態(境界鮮明,不鮮明)。各分類法にて予後を検討した。(1)腎細胞癌患者全体の1年,3年,5年相対生存率は,86.2%,69.4%,73.4%であった。(2)grade 1,grade2,grade 3の5年相対生存率は,87.5%,86.3%,29.9%であった。(3)clear cell型,混合型,granular cell型,spindle cell型の5年相対生存率は,83.8%,76.5%,58.2%,0%であった。(4)tubular型,solid型,cord型,papillary型の5年相対生存率は,91%,70%,68.4%,61.9%であった。(5)境界鮮明,不鮮明例における5年相対生存率は,それぞれ92%,35.3%であった。上記に述べた因子において特に予後に影響を与える因子としては,腫瘍細胞の異型度(grade),細胞型の spindle cell型,境界の状態であった。
社団法人日本泌尿器科学会の論文