石炭の迅速熱分解による有用化学物質の製造
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近, 石炭の迅速熱分解は温和な反応条件下で有用化学物質を製造する方法として大きな注目を浴びている.本論文では, 石炭の迅速熱分解の特徴とそれに付随する問題を検討した.まず, 揮発分とタールの収率を支配する因子を明らかにするために, 昇温速度を始めとする操作条件の影響を検討した.次に, 迅速熱分解によってタールの収率が増加する機構をNiksaらの提出したモデルを参考に検討した.その結果, メタプラストと呼ばれるタール前駆体の量と非凝縮性ガスの生成速度が揮発分収率と密接に関係することを示した.また, 石炭の熱分解反応に対する一次反応モデルの適用性に関する議論に対する一見解を提示するとともに, 一次反応モデルから真の活性化エネルギーを決定できる手順を示した.さらに, 温和な条件下で熱分解を制御する目的で提案された方法を整理し, その概要を紹介した.最後に, 温和な反応条件下で揮発分, ベンゼン, トルエン, キシレンなどの収率を大幅に増加する目的で, 著者らが提案したいくつかの新しい熱分解法を紹介した.
著者
関連論文
- コークス製造用石炭資源拡大のための低品位炭改質技術の開発
- 講座「石炭科学基礎論」(V) 石炭熱分解の科学と課題
- エネルギー・熱利用化学工学
- 化石資源利用, 蓄熱・ヒートポンプ
- コークス用石炭資源拡大を目的とした褐炭の改質(資源制約に対応するコークス製造技術)
- 石炭ガス化過程におけるチャーの粒度分布および比重の変化における挙動解明とモデル化
- ラマン分光と水素生成速度解析を利用した石炭の炭素化挙動の検討(炭素構造からみたコークス化機構解析,劣質な石炭のコークス化機構解析とコークス強度評価)
- 化学工学の一層の発展を期待する
- 石炭 : 21世紀の貴重な炭化水素資源
- 石炭の資源評価
- 特集号「劣質な石炭のコークス化機構解析とコークス強度評価」に寄せて(劣質な石炭のコークス化機構解析とコークス強度評価)
- 特集号「革新的コークス製造技術開発への挑戦」に寄せて
- 劣質炭素資源の期待と位置付け
- エネルギー技術開発に王道なし
- 気 : 固反応の基礎理論と新たな展開
- フーリエ変換赤外分光法(FTIR)と炭素
- 石炭利用技術開発と大学における石炭の研究
- 特異なあなを有する分子ふるい炭素の製造とその特性
- ピッツバーグCoal Conferenceに参加して
- 高効率・高選択性石炭利用技術は生まれるか?
- 石炭の新規な転換法
- 噴流床ガス化炉内条件における石炭の高温熱分解特性とコーク微粒子の生成挙動に対する圧力影響
- コークス製造過程における粘結炭と非微粘結炭の再固化・炭化機構の検討(製銑プロセスの環境調和・資源対応力強化を目指して)
- 褐炭の液相酸化で得られる有機酸を水素細菌をりようしてポリβ-ヒドロキシ酪酸(PHB)に変換させるための培養工学的検討と代謝流束分布システム解析
- BRAIN-Cプログラムにおける揮発化・チャーガス化速度WGの研究成果の概要(BRAIN-Cプログラム)
- 3-3.エネルギーと環境の狭間で考える次世代Clean Syn-energy技術とは(次世代人が考える次世代のエネルギー・環境問題,Session(3)若手会シンポジウム)
- オリノコタールならびにオリマルジョンの熱分解・ガス化に関する基礎的研究
- 石炭の高温溶剤抽出物を利用した劣質炭からのコークス製造(石炭改質に関する基盤研究)(革新的コークス製造技術開発への挑戦)
- 各種前処理を施した石炭の熱分解・燃焼時の硫黄発生挙動
- 石炭の溶剤抽出の基礎とその石炭転換プロセスへの展開(石炭基礎(7))
- 石炭の熱分解モデル(石炭基礎(10))
- 貴重な石炭を大切に使う技術の開発に期待する
- 特集号「石炭資源拡大および還元材比低減を目指したコークス製造技術への挑戦」に寄せて
- 石炭の迅速熱分解による有用化学物質の製造
- 5. 貴重な化石資源「石炭」 : クリーンにかつ大切に使うために(【第1部】パネリストからの講演,90周年記念講演会・パネル討論会「これからの資源・エネルギー・環境を考える」,90周年記念)
- 石炭,バイオマス,廃プラスチックの高効率共熱分解法の開発 (化石エネルギ-利用技術) -- (熱分解・液化・処理技術他)
- 石炭-メタノ-ルスラリ-の迅速熱分解 (化石エネルギ-利用技術) -- (熱分解・液化・処理技術他)
- 溶剤抽出フラクショネーション法による構造分析を用いた石炭・粘結材のコークス化挙動予測の試み
- 1-1-1 低品位炭の低温酸化速度解析(1-1 反応性,コークス,Session 1 石炭・重質油等)