カルボキシル基修飾β-ラクトグロブリンの静菌作用 : 菌体内のtRNAの塩基組成に及ぼす影響
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概要
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1) β-ラクトグロブリン (β1g) およびα-ラクトアルブミン (α1a) のカルボキシル基, アミノ基, インドール基およびグアニジル基を化学修飾した修飾タンパク質 (タンパク質濃度として0.7%) の<I>Str. lactis</I>および<I>Str. pyogenes</I>に対する静菌作用について調べた結果, カルボキシル基修飾が最も静菌力が強かった。他のアミノ酸残基修飾による静菌作用はほとんど認められなかった。未修飾α1aの静菌作用はなく, 未修飾β1gはわずかに静菌作用があることが認められた。<BR>2) カルボキシル基修飾タンパク質は, <I>Str. lactis</I>に対してよりも<I>Str. pyogenes</I>に対する静菌作用が強かった。<BR>3) <I>Str. lactis</I>の菌体のtRNA の塩基組成に及ぼすカルボキシル基修飾の影響について, Dowex樹脂・イオン交換クロマトグラフィーによって調べた結果, ウリジル酸とグアニル酸の塩基組成の変化が大であった。また, プリン/ピリミジンの比率が高くなった。<BR>4) また, 菌体のtRNA の紫外線吸収スペクトルに変化を生じ, 菌体と修飾タンパク質との会合によると思われる蛍光強度の減少 (消光現象) が現われた。<BR>5) カルボキシル基修飾タンパク質の静菌作用の原因は, この基の化学修飾によって露出したアミノ基が, 細菌膜のタンパク質のカルボキシル基とイオン結合によって会合し, 菌体膜の能動輪送を阻害したことに起因すると推定された。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
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