腹水症を呈するブリ稚魚から分離されたウイルスについて
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概要
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1983年5月から7月にかけて, 瀬戸内海の一種苗生産場においてブリ稚魚に腹水症状を伴う大量へい死が発生し, その原因を究明するためにウイルス学的検討を行った結果, 次の事項が明らかにされた。1. 腹水症状を呈する病魚および疾病発生群中の, 外観的には異常が認められなかった魚から, ウイルスが分離された。2. 分離ウイルスは, 電顕観察によると平面的には6角形を呈し, 粒子の大きさは62〜69nmであった。3. 分離ウイルスに対して, RTG-2, CHSE-214およびEK-1細胞が高い感受性を示し, CHSE-214およびEK-1細胞を用いて増殖温度を検討した結果, 20〜30℃における増殖が良好であった。4. 分離ウイルスはRNAウイルスに属し, エーテル, クロロホルムに耐性, 熱および酸に安定な性質を示し, 抗IPNV家兎血清で中和されたことから, IPNVと類似性が高いものと考えられた。5. ブリ稚魚を用いて, 浸漬法により感染実験を行った結果, 20℃では顕著な腹水症状と強い肝臓の出血を伴って62%がへい死し, それらから接種ウイルスが再分離された。しかし, 25℃における腹水症状の出現は, 20℃に比べると著しく低かった。6. 本ウイルスをYellowtail Ascites Virus(YAV)と呼ぶこととした。
- 日本魚病学会の論文
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