コレステロール酸化物の栄養生理機能に関する研究
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概要
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加工食品中には無視できない濃度のコレステロール酸化物が存在している。そのため, 生体内のコレステロール酸化物の供給源の大部分は食事由来のコレステロール酸化物である可能性が高い。コレステロール酸化物は種々の有害作用を有している。しかし, in vitro 研究で得られたコレステロール酸化物の生理作用に関する知見と比べると, 食事由来コレステロール酸化物の作用については不明な部分が多い。この研究では, コレステロール酸化物の有害作用について主として in vivo で調べた。ラットの食事由来コレステロール酸化物吸収率は約35%であった。ラットにコレステロール酸化物を摂取させた場合, 肝臓のコレステロール生合成と異化は低下したが, リノール酸不飽和化反応は亢進した。このような脂質代謝変動作用は成熟ラットよりも未成熟ラットで顕著であった。そのため, コレステロール酸化物の摂取によって, 加齢に伴う代謝変動が攪乱される可能性がある。また, コレステロール酸化物はリンパ球の抗体産生システムおよび腹腔肥満細胞のヒスタミン放出を変動させるなど, 免疫機能にも影響を及ぼす可能性が明らかになった。しかし, 大豆タンパク質, 大豆水溶性多糖類, 乳ホエータンパク質, プロシアニジンあるいはカテキンの摂取によってコレステロール酸化物が引き起こす種々の有害作用は緩和された。このように, 食事由来コレステロール酸化物は生理的に有害な因子であるが, 食事成分の選択あるいはコンビネーションを図ることで, その有害作用は防止できるのではないかと考えられる。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
- 2003-04-10
著者
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