鶏卵の半熟, 完熟処理に伴うオボインヒビターの活性変化と卵白の消化性
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概要
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1) 生卵白, 半熟および完熟卵白からキモトリプシンをリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーによりオボインヒビター (OI) を分離し, そのプロティナーゼ阻害活性を調べた結果, 収量, 阻害活性ともに生卵白が最も高く, ついで半熟, 完熟卵白の順であった。<BR>2) 生卵白から分離したOIをpH 7〜9で半熟, 完熟条件下で加熱後, アフィニティークロマトグラフィーで回収し, 阻害活性を測定した結果, 加熱度の増強, pH上昇に伴い, 収量, 阻害活性はともに著しく低下した。<BR>3) 前記3種の卵白のペプシン消化性は生卵白が最も悪く, 半熟, 完熟卵白間ではその差はほとんどなかった。トリプシン消化性は完熟卵白が最良で半熟, 生卵白は低く, キモトリプシン消化性は完熟卵白が最良で, ついで半熟, 生卵白の順であった。ペプシン, ついでトリプシンによる2段階消化の場合も同様であった。<BR>4) ヒト膵キモトリプシンはOIにより阻害されることを認めた。以上の結果から完熟, 半熟, 生卵白の順に消化がよいのは卵白中のOIの加熱失活が1要因であると判断された。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
著者
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福永 隆生
鹿児島大学農学部
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古賀 克也
鹿児島大学農学部畜産化学教室
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中原 浩
鹿児島大学農学部動物生化学・食品科学講座
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古賀 克也
鹿児島大学農学部
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古賀 克也
鹿児島大学農学部動物生化学・食品科学講座
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