異常炊飯米の生成と精白米の高温下における吸水挙動
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概要
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1) 精白米を種々の温度で長時間吸水させた場台, 55℃までは吸水量にあまり差がなく30%増程度であったが, 60℃以上になると急激に増加し, 70℃では300%以上にも達した。<BR>2) 精白米を恒温槽 (65〜70℃, 7時間) および自動電気炊飯器で保温 (70〜75℃, 8〜18時間) して得た異常炊飯米 (メッコ飯) と温水処理 (50〜60℃, 72時間) 米についてデンプンの性状を比較した。<BR>3) メッコ飯では不均一性が顕著であった。すなわち, 65℃保温によるものでは上層には破裂粒や吸水不良粒が, 下層には崩壊粒が, 中層には粉粒様呈味を示す米粒がそれぞれ生成した。その再炊飯米の食味試験やテクスチュロメーターによる測定でも不均一性が認められた。また, 75℃保温によるものでは上中下の各部分で性状が異なり, 下層部分の米飯は糊状で不味であった。<BR>4) アミログラム特性値では, 温水処理米, メッコ飯, ともに最高粘度やブレークダウン値の低下が認められたが, その低下程度は炊飯米の場合の50%以下であり, 糊化が不十分であることがか明らかとなった。<BR>5) X線回折像では, 温水処理米は結晶構造の再配列を示す回折強度の大きなA-図形を, メッコ飯では糊化デンプンを示すV-図形を与え, 両者の間に顕著な相違が認められた。<BR>6) 品種による糊化温度の違いも, 温水処理米やメッコ飯の糊化程度に微妙に影響することが明らかになった。<BR>7) 温水処理 (糊化温度以下) 米を炊飯してもメッコ飯は生成しなかったことから, 自動電気炊飯器の保温下で生じるメッコ飯の生成原因は高温 (糊化温度以上) における高い吸水性と対流不足による糊化の不完全性と不均一性に基づくものと推察される。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
著者
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山本 愛二郎
甲子園大学大学院栄養学研究科
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山本 愛二郎
甲子園大
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仲嶋 弘
甲子園大学栄養学部栄養学科
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谷田 直子
甲子園大学栄養学部栄養学科
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谷田 直子
甲子園大学(栄養)
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山本 愛二郎
甲子園大学栄養学部栄養学科
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