扁桃の炎症と血清免疫グロブリンの動態
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概要
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目的:ひと口蓋編桃の免疫機能,とくに扁挑の全身的な免疫反応への関与の有無の究明を意図した。対象と方法:扁挑炎61例および編桃炎以外の耳鼻咽喉科領域の急性感染性疾患(以後対照疾患)31例において,急性炎症症状の著明な時期(初診時)と治療後の炎症症状消失時の2回にわたつて血清中の免疫グロブリン(IgG,IgAおよびIgM)を定量し,初診時の免疫グロブリンレベルおにび免疫グロブリンレベルの変動を観察した.免疫グロブリンの測定はSingle radial immunodiffusionで行つた.結果:A. 免疫グロブリンレベルIgG:急性カタル性編桃炎,慢性編桃炎および対照疾患では大多数が正常範囲内であつた.腺窩性扁桃炎では正常範囲をこえて上昇している症例(30%)が存姦した.IgAおよびIgM:扁桃炎および対照疾患ともに正常範囲内のレベルであつた.B. 免疫グロブリンレベルの変動腺窩性扁桃炎19例,対照疾患15例について免疫グロブリンレベルの変動を観察できた.IgG:腺窩性扁挑炎では,増加3例,減少12例(63.1%),対照疾患では,増加2例,不変4例,減少7例であつた.IgGは,腺窩性扁挑炎の場合には,炎症の消退につれて減少する傾向が認められた.IgAおよびIgM:扁桃炎および対照疾患ともに一定の変動傾向は認められない.以上の結果をもとに扁桃の全身的な免疫反応への関与の機構を考察した.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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