電気味覚の正常値
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概要
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目的:電気味覚検査法に関してはKτarαpの発表以来我が国においても種々の報告をみている.しかし電気味覚検査法の施行限界,電気味覚域値の年令的変動,標準域値,正鴬範囲,性差,左右差及び電気味覚の味質などについてはなお研究の余地があつた.著者らは統計的検討に充分な数の被検者に電気味覚検査を施行し,これら諸問題の解決を屡的としてこの研究を実施した.方法:使用した電気味覚計は著者らにより試作されたTN-1型,TR-1型である.刺激導子は直径0.5cm円形平板ステンレス鋼製である.無刺激導子は直径2.Ocmのステンレス鋼製円筒である.被検者の年令分布は6才から81才に及ぶ総数1381例であり全て正常人である.測定部位は左右鼓索神経の交叉支配をさけるため香尖中央より2cmの舌縁外側とした.刺激時間は約1秒,刺激間隔は約5秒とし,域値測定ほ上昇法を採用した.標準域値,正常範囲,性差及び左右差については生理的に成熟期とされる18〜24才の年令令293例を中心として検討した.結果:全被検者の約90%は両側域値測定が可能であつた.また両側域値測定不能例は4.5%,刺激感のみの例5.5%,片側域値測定不能例及び左右差200μA以上の例は0.8%であつた.電気味覚の域値の年令釣変動はあぎらかに存在し,40才代より域値の急激な上昇とばらつきの増加が証明された.正常人(18才-24才)の左,右平均域値は左7.5土4.26μA,右7.4±4.25μAであつた.このことから正常人の標準域値は8μAとすることが妥当と考える.40才以下の約85%は20μA以下の域値を示したので,正常範囲は20μA以下と設定しうる.なお,最低平均域値は11〜15才の年令群の3.6±2.19μA,最高平均域値は61才以上の年令群の58.9±67.7μAであった.性差及び左右差については統計学的有意差は認められなかつた.病的左右差の決定には正常範囲,両側域値の相互関係及び精神物理的法則などが考慮に入れられねばならない.測定域値が正常範囲を超え,左右差が健側域値の51%以上を示す症例ではこれを病的として疾患の検索に努めるべきであると考える.電気味覚の味質には四原味がすべて表現されたが,金属味が54,4%で最多であり,塩味,酸味の類であつた.この三者で被検者の約90%を占めた.
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