「炎症性腸疾患におけるX線,内視鏡検査と画像診断の役割」
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概要
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1.診断における役割り:炎症性腸疾患の診断は、定型的には臨床症状、血液、生化学的検査所見より炎症性腸疾患を疑ってX線、内視鏡検査を行い、生検所見を加えて行われる。しかし定型的臨床症状や炎症所見を缺き、X線、内視鏡検査所見から診断されたCrohn病(CD)がその5〜7%にみられる。これらの症例の多くは肛門病変のため、あるいは偶然施行されたX線、内視鏡検査によって診断されている。<BR>腹部超音波検査(US)やCTが診断のきっかけとなったものはほとんどない。しかし治療方針の決定にはUS、CTが有用である.我々の成績ではUS上狭窄腸管の断面が正円型を呈する狭窄は栄養療法や薬物治療で改善しないことが多く、楕円型を呈するものでは栄養療法で改善することが多い.前者は腸管全層の線維化が著しく、腸管の柔軟性をなくしたことの表現と解釈される。外来通院中のCD患者で腹部症状や炎症所見が増悪した場合、USにて腸液や腸壁肥厚の有無を観察することで、多くはCDの腸病変に基づくものか他の原因に基因するものかの鑑別が可能で、副腎皮質ステロイド(PSL)投与や入院治療の適応を決定できる。腸管外腹腔内病変や腸腰筋膿瘍の診断にはUS、CTが必須である。しかし、腸管―膀胱瘻、直腸―膣瘻の診断にはICGを経口又は注腸にて投与し、ICGの尿中または膣への排泄の有無をみる方法がUS、CTより有用である。<BR>三次元CTは現在のところ造影剤や内視鏡が通過不能の大腸狭窄部口側の状態を大まかにみるのに有用な検査にとどまっている。<BR>潰瘍性大腸炎の急性期で病変範囲口側の内視鏡的観察不能の場合には、バリウムを注入するのみの無前処置注腸法が有用である。この方法で治療目標とすべき病変を確認出来、適切な治療法を選択できる。最近、教室ではnew steroidを用いた注腸治療の適応決定に本法を用い、病変範囲まで到達する注腸液の量と注腸液の保持時間を予め知ることによって、注腸治療の適応を拡大し、、その有効率を上げることができた。<BR>炎症性腸疾患の治療は臨床所見、一般検査成績と共にX線、内視鏡検査を含む諸画像診断を使い分け、病変の部位、性状を念頭においた上で行うことが必要である。<BR>以上め論旨に加え、実際の症例、成績を提示しつつ論述する予定である。
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