FUT-175(nafamstat mesilate)の薬理学的研究 : II.実験的急性膵炎に対する作用
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概要
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蛋白分解酵素阻害剤 FUT-175(nafamstat mesilate)の種々実験的急性膵:炎モデルに対する作用を静脈内持続注入により検討した.ウサギのtrypsin膵炎に対し,FUT-175(5〜50μ/kg/min)は,用量に依存した延命効果を示すとともに,膵炎発症にともなう血中trypsin活性の上昇を著明に抑制した,一方,FUT-175(50μg/kg/min)は,血清amylase,lipase,glucose,ヘマトクリット,血清補体価およびcalciumの変動に対しては,一部改善傾向を示したものの明らかな作用は示さなかった.ウサギ膵の病理組織学的検討において,病態対照群が典型的な急性膵炎像を示したのに対し,FUT-175(50μg/kg/min)投与群では,病変の発現領域は小さく,また,その程度も軽減され,その効果を認めることができた.ラットのtrypsinおよびendotoxin膵炎において,FUT-175(1〜50μg/kg/min)は,ウサギの場合と同様,用量に依存した延命効果を示した.また,その効果はgabexate mesilatdこ比し,約100倍強力であった.イヌの実験で,FUT-175(1〜100μg/kg/min)は,trypsinおよびkanikreinの静脈内注射による降圧反応を用量依存的に抑制したが,bradykinin,histamineおよびacetylcholineの静脈内注射による降圧反応にはほとんど影響を与えなかった.また,trypsinの静脈内持続注入による血圧低下とこれに続くショック相の発現,および血中trypsin活性の上昇に対し,FUT-175(1〜50μg/kg/min)は,同時投与およびあと投与ともに抑制作用を示し,膵炎発症にともなうショックに対するFUT-175の予防的および治療的効果が期待された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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岩城 正広
鳥居薬品研究所
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岩城 正廣
鳥居薬品(株)研究所
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佐藤 拓夫
鳥居薬品(株)研究所
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鈴木 邦彦
鳥居薬品(株)研究所
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尾関 正之
鳥居薬品(株)研究所
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元吉 明美
鳥居薬品(株)研究所
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鈴木 祥之
鳥居薬品(株)研究所
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青山 卓夫
鳥居薬品(株)研究所
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藤田 允僧
鳥居薬品(株)研究所
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