摘出ブタ冠動脈における血管収縮物質の作用機序について
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概要
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冠動脈攣縮の重要な因子と考えられているhistamine,serotonin,norepinephrineおよびthromboxane A<SUB>2</SUB>の安定な誘導体(9, 11-epithio-11, 12-methano TXA<SUB>2</SUB>: S-TXA<SUB>2</SUB>)の血管反応性を摘出ブタ冠動脈条片を用いて検討した.イヌやサル等では拡張作用を起こすことが知られているhistamineおよびacetylcholineは,ブタ冠動脈をヒト冠動脈と同様に収縮させた.この様に,ブタ冠動脈は冠動脈収縮および攣縮を検討する上でヒト冠動脈に極めて類似した薬物反応性を示すために有用である.histamineの収縮作用はchlorpheniramineで,serotoninの収縮作用はmethysergideとketanserinで,norepinephrineの収縮作用はprazosinで拮抗されたことから,これら薬物の収縮作用にはそれぞれH<SUB>1</SUB>受容体,S<SUB>1</SUB>とS<SUB>2</SUB>受容体およびα<SUB>1</SUB>受容体が関与するようである.histamine,serotoninおよびS-TXA<SUB>2</SUB>は相乗的に収縮作用を増強させた.内膜を除去する事によりhistamine,serotoninおよびnorepinephrineの収縮作用が著明に増強された.このserotonin収縮作用の増強は主として内膜のS<SUB>1</SUB>受容体を介する拡張作用の消失と考えられる.これらの事実より,histamineやserotoninおよびTXA<SUB>2</SUB>などの収縮物質が相乗的に作用することおよび内膜の障害によりその収縮作用が増強される事が冠動脈攣縮の発生に重要な因子として働いている可能性が示唆される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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