生姜に関する薬理学的研究(第V報) : ―(6)-ShogaolとCapsaicinの薬理作用の比較―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
赤コショウの辛味成分であるcapsaicinと生のショウガに含まれず,乾燥したショウガに多く含まれ辛味成分のひとつである(6)-shogaolにっいて薬理学的に比較検討した.(6)-shogaol(0.5 mg/kg, i.v.)とcapsaicin(0.1 mg/kg, i.v.)は血圧に対して三相性の変化(降圧,昇圧そして再び降圧)を,心拍数および呼吸に対して徐脈および無呼吸を示した.両薬物によって惹起される著明な昇圧反応は脊髄が破壊されることによって著明に減弱し,また脊髄が仙髄部レベルまで破壊された状態下で惹起される両薬物の末梢性の昇圧反応は坐骨神経の切断,phentolamine(10 mg/kg, i.v.)およびsubstance P(SP)拮抗薬(0.5mg/kg, i.v.)の併用処置によって著明に減弱した.モルモット気管平滑筋に対して,(6)-shogaol(100 μM)とcapsaicin(10 μM)はSP拮抗薬(10 μM)で軽度に抑制される収縮を示すもののタキフィラキシーも誘発し,しかも両薬物間でクロスタキフィラキシーを示すことが確認された.(6)-shogao1(3.6 μM)はラット摘出心房標本に対して陽性変力および変時作用を示すが,(6)-shogaolによって惹起される心房の陽性の変化は(6)-shogaolの反復投与あるいは(6)-shogaolの前投与(100 mg/kg, s.c.)によって消失した.以上の結果から,(6)-shogaolとcapsaicinは非常に類似した作用を有していることが明らかになり,さらに両薬物は末梢臓器に対して神経系の末端からある種の活性物質を遊離させることによって作用を示すかも知れないという興味ある示唆が得られた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
油田 正樹
(株)津村薬理
-
細谷 英吉
(株)津村順天堂津村薬理研究所
-
末川 守
(株)津村順天堂津村薬理研究所
-
曽根 秀子
(株)津村順天堂津村薬理研究所
-
榊原 巖
(株)津村順天堂津村研究所
-
池谷 幸信
(株)津村順天堂津村研究所
関連論文
- I-5 放射線、抗癌剤 (MMC) の造血抑制に対する十全大補湯の効果
- Synthesis of Entadamide A and Entadamide B Isolated from Entada phaseoloides and Their Inhibitory Effects on 5-Lipoxygenase
- 335 モルットの摘出肺切片標本を用いた小青竜湯エキスの抗アレルギー作用機序の研究
- マウスにおける Adriamycin による造精機能障害におよぼす TJ-41(ツムラ補中益気湯)の効果
- P-10 腸内細菌によるゲニポサイドの代謝 : β-グルコシダーゼによる水解
- 生姜に関する薬理学的研究(第V報) : ―(6)-ShogaolとCapsaicinの薬理作用の比較―
- 生姜に関する薬理学的研究(第IV報) : (6)-Shogaolのアラキドン酸代謝に対する作用
- 五味子リグナン成分Gomisin A (TJN-101)のラット肝機能におよぼす影響
- 四塩化炭素誘発慢性肝障害ラットにおける肝線維化ならびに肝部分切除後の肝再生におよぼす五味子リグナン成分TJN-101の作用
- 実験的肝障害および肝薬物代謝酵素系に及ぼす五味子リグナン成分Gomisin Aの作用
- 正常ラットにおける再生肝,肝組織血流量ならびに肝微細構造におよぼすTJN-101((+)-(6s,7s,R-biar)-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,3,12-tetramethoxy-6,7-dimethyl-10,11-methylenedioxy-6-dibenzo[a,c]cyclooctenol)の作用
- TJ-8007(ツムラ続命湯)の薬理学的研究-1-低酸素性脳障害保護作用