4-Ethoxy-2-methyl-5-morpholino-3(2H)-pyridazinone(M73101)の薬理学的研究 : 第5報中枢神経系に対する作用
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概要
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新しい非ステロイド性鎮痛抗炎症薬4-ethoxy-2-medlyl-5-morpholino-3(2H)-pyridazinone(M73101)の中枢神経系におよぼす影響を検討した.M73101はaminopyrineと同程度にマウスおよびラットの自発運動を抑制し,またhexobarbitalによるマウスの睡眠時間を延長したが,カタレプシー惹起作用,抗tremorine作用およびreserpine低体温に対する拮抗作用は認められなかった.M73101およびaminopyrineはマウスにおける最大電撃けいれんおよびpentylenetetrazolけいれんを抑制しなかったが,strychnineけいれんに対しては軽度な抑制作用を示した.またM73101およびaminopyrineの20mg/kg(i.v.)は正常およびC<SUB>1</SUB>-C<SUB>2</SUB>切断ネコにおいて単シナプス反射のみを軽度抑制した.したがってM73101はaminopyrineと同様,脊髄機能に対して軽度な抑制作用を有しているものと考えられた.ウサギを用いた急性脳波実験において,M73101の20〜50mg/kg(i.v.)およびaminopyrineの10〜20mg/kg(i.v.)は自発脳波を覚醒波化し,視床正中核低頻度刺激による漸増反応を抑制したが,脳幹網様体および坐骨神経の高頻度刺激による脳波覚醒反応,視床後外側腹側核低頻度刺激による増強反応および海馬刺激による後発射に対しては影響しなかった.またM73101およびaminopyrineによる覚醒波の出現および漸増反応の抑制はerveau isolé preparationにおいては認めることができなかった.以上の成績から,M73101は中枢神経系に対してaminopyrineより若干弱いが,類似した作用態度を示すことがわかった.またM73101による覚醒波の出現には脳幹網様体が重要な役割を演じており,その興奮の結果二次的に漸増反応が抑制されたものと推察された.なお運動機能に対する影響をrotarod法,懸垂法および横隔膜神経筋標本を用いて検討したが,M73101およびaminopyrineはほとんど作用が認められなかった.
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