SART stress(repeated cold stress)マウスの摘出小腸におけるACh反応性減弱についての一考察
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概要
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SART stress(repeated cold stress)負荷マウスの摘出小腸における薬物特にacetylcholine(ACh)反応性とこれにおよぼす各種薬物の効果を調べた.またSART stressによる体重減少におよぼす各種薬物の影響についても調査した.1)SART stress中のマウスにおける1日の摂食量は,体重が減少するに拘らず,むしろ明らかに増加した.またSART stressマウスの小腸の長さは変わらなかったが,小腸の湿重量は増加した.2)SART stressマウスの摘出小腸におけるACh反応性はstress負荷3日目から低下し始め,5日間負荷後著しい低下が見られた.6日以上では5日後の成績と同様であった.その他の薬物では,pilocarpineに対する反応性がAChに次いで著明に低下していた.KClに対する反応性もかなり低下していた.BaCl<SUB>2</SUB>に対する反応性はわずかに低下していたが,最高収縮高は同じであった.このことから筋収縮系には本質的な変化がないものと思われる.3)次いでSART stress負荷期間(5日間)を通じて自律神経作用薬,その拮抗薬,向精神薬およびその他の薬物を投与したマウスについてその摘出小腸のACh反応性を調べたところ,(1)アドレナリン作働薬であるadrenaline,noradrenaline,isoproterenol前投与によりSART stress小腸のACh反応性に著しい回復が認められた.アドレナリン作働神経末梢抑制薬であるguanethidine,α-methyldopa前投与では無効であった.(2)抗コリン作働薬のatropine,scopolamineを前投与したマウスの摘出小腸においてもACh反応性がdose dependentにnormalレベル近くまで回復された.(3)向精神薬の中ではreserpine,chlorpromazine,carpipramineおよびimipramine前投与によって小腸ACh反応性の低下がかなり阻止された.Diazcpam,meprobamateでは無効であった.(4)その他抗ヒスタミン剤のdiphenhydramineでは無効で,抗てんかん薬のL-GABOBではわずかに回復がみられた.神経鎮静剤neurotropin前投与ではdose dependentにnormalレベルまで回復することが認められた.以上のような成績よりSART stressマウスの小腸においては自律神経系のアンバランス,特に副交感神経緊張型を呈しているのではないかと推察きれる.4)SART stress負荷期間中,各種薬物を連続投与した場合,SART stressによる体重減少に対しては大部分の薬物は無効であったが,L-GABOB前投与によりわずかに,neurotropin前投与によって明瞭な阻止が認められた.今回使用薬物の中で小腸のACh反応性低下と体重減少の両者に対し共に明瞭な阻止効果の認められたのはneurotropinのみであった.
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