環境温度リズムの変更によるストレス(SARTストレス)とマウス・ラットの生体機能変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
環境温度の変動に対して生体機能はどのように対応するかについては未だ充分わかっていない.そこでわれわれは実験動物の環境温度条件をいろいろと変動させ,その影響を精査した.すなわち「マウス(またはラット)を午前10時から午後5時までは1時間毎に24°Cと8°C(または-3°C)を交互に,次いで午後5時から翌日の午前10時までは8°C(または-3°C)で飼育する」という環境温度リズムの変動(ARTと略)の条件下でマウスまたはラットを飼育した.このテストはマウスやラットを強度のストレス状態にした.そしてわれわれはこの強度のストレスを特異的なARTストレス(SARTストレスと略)と呼ぶことにした.SARTストレスマウスならびにラットでは体重増加がほとんど見られず,呼吸数および心拍数がわずかに増加し,QRS時間が延長した.SARTストレスマウスでは,Magnus氏法で調べた摘出十二指腸管のACh感受性は正常値に比べ著しく低下していた.SARTストレスラットの解剖所見では,脾の湿重量は正常値より軽かった.しかし,肺・心・肝・胃・腎および副腎のそれは正常値に近かった.これらの臓器を巨視的に観察すると,肺には赤褐色の斑点が,心室には肥大が,また胃粘膜内面には軽度の塵瀾と充血が認められた.次に皮膚電気反射(GSRと略)では,SARTストレスラットの皮膚電気抵抗値は正常ラットのそれより小さく,外部刺激によって誘発された抵抗値の変化は大きく,またその回復時間は正常ラットのそれより短かかった.以上の結果から,SARTストレスは一種の病態と考えられ,そして人間で温度の急変によって惹起されるストレス状態を代弁するに充分な理由を持っているといえよう。
著者
関連論文
- ラットにおける起立性低血圧とストレス
- 医療統計学専門家の治験審査への参加による審査の質の改善に関する検討
- SARTストレス動物の免疫応答とそれに及ぼす数種薬物の影響
- IIB-1 SART stress動物の免疫応答の変動とそれに及ぼす数種薬物の影響
- SART stress(repeated cold stress)負荷の至適条件の検討
- SARTストレスマウスにおけるmethacholine, または拘束水浸ストレスマウスのabrenaline不整脈に及ぼす人参, 20S-prosapogeninの緩解作用(精神薬理)
- SART stress 動物の免疫応答の変動とそれに及ぼす数種薬物の影響 : 第24回日本心身医学会総会一般演題に関する質疑応答
- SHR における自律神経支配ならびに痛覚闘値の加齢に伴う変化
- CII-4. SART stressマウスにおける紫胡サポニンの体重回復ならびに鎮痛作用(精神薬理)(第19回日本心身医学会総会抄録・質疑応答)
- 自律神経失調症SARTストレス動物における血小板数減少について : 他のストレスとの比較
- II-E-22 SARTストレス動物の逃避・回避学習行動(基礎II(精神薬理・神経化学))
- I-B-8 SART ストレスマウスにおける血小板数変化について(1.精神生理)
- 副交感または交感型ストレスマウスの組織血流量に及ぼす人参20S-persapogeninの影響(基礎・精神生理ほか(2))
- 8.SARTストレスラットの脳波尋常についての心身医学的一考察(一般演題)(第10回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)
- SART stressラットの脳波異常とそれに及ぼすノイロトロピンなど薬物の影響(基礎・精神生理ほか(3))
- 4-アミノ酪酸およびアセチルコリンのReceptorに関する濃度作用曲線的解析(第3報) : 4-アミノ酪酸, およびアセチルコリン各作用とナトリウム, カルシウムイオンとの関係
- 4-アミノ酪酸およびアセチルコリンのReceptorに関する濃度作用曲線的解析(第2報) : ザリガニ腸管に対するアセチルコリン並びに4-アミノ酪酸関連化合物の作用とReceptorとの関係
- ストレスと不安と脳内物質
- I-G2-24 SARTストレスはうつ状態か?(基礎II)(ポスターセッション)
- B-41) 動物における実験的消化器潰瘍に及ぼすノイロトロピンの作用(精神薬理)
- 家兎皮膚炎症組織中の抗潰瘍性蛋白質の研究(第3報)ワクシニアウイルス感染組織中の抗潰瘍活性ペプタイド(Gly-Ser-His-Lys)
- 動物群集心理学の薬理学への導入―6 El-マウス相互関係における痙攣発症の同調性と不発作率
- モデルル-ム中における二硫化メチルの活性炭への吸着
- D-5-5 ストレス動物における過敏性腸症候群様症状と薬物効果(精神生理・薬理)
- SARTストレスマウスの単独時及び2匹時行動の特徴とそれに及ぼす薬物の影響
- 10.SHRにおけるmecholyl indexと痛覚閾値の加令に伴う変化
- ラットにおける自律神経失調症のテスト方法とNeurotropinその他薬物の作用
- SART stress(repeated cold stress)マウスの摘出小腸におけるACh反応性減弱についての一考察
- SARTストレスラットの脳波変化に及ぼすノイロトロピンなど薬物の作用
- 動物群集心理学の薬理学への導入(XI)E1-マウス痙攣の発現における光の役割
- 動物群集心理学の薬理学への導入―5 : El-マウスの運動,性差または刺激時刻と痙攣発症の関係
- 動物群集心理学の薬理学への導入-3 : El-マウス痙攣発症の相互関係について
- マウスにおけるノイロトロピンの鎮痛効果とSARTストレスマウスにおける薬物の鎮痛作用
- マウス・ラットのSARTストレス症状におよぼすNeurotropinの薬理作用
- ラット, マウスにおけるMecholyl testおよびAschner testとNeurotropinの作用(精神生理・薬理)
- SART stress(Repeated cold stress)マウスのECG変化とそれに対するNeurotropinなどの作用
- SART stress負荷ラットにおける血圧・血流の異常とそれに及ぼすNeurotropinその他の薬物作用
- Neurotropinの中枢ならびに降圧作用と抗潰瘍作用
- モデルル-ム中におけるアンモニア,硫化水素の若干ゼオライトへの吸着
- Mechanism of Adsorption of Methylene Blue on Magnesium Silicate
- 環境温度リズムの変更によるストレス(SARTストレス)とマウス・ラットの生体機能変化
- C-12 TART-stressマウス・ラットの自律神経失調症様症状に及ぼすNSPの作用(精神神経生理)(第15回日本精神身体医学会総会より一般演題抄録・質疑応答)
- C-11 環境温度リズムの変更によるストレス(TART-stress)とマウス・ラットの生理機能変化(精神神経生理)(第15回日本精神身体医学会総会より一般演題抄録・質疑応答)
- SART stress動物に関する研究 : その後のまとめ(ストレスの基礎と臨床)(第27回日本心身医学総会)
- SART stress動物に関する研究 : その後のまとめ(ストレスの基礎と臨床)
- SARTストレスといわれる自律神経失調症との接点について : 特別演題 : 心身相関へのアプローチ
- 拘束水浸ストレスマウスにおける異常ECGならびにAdrenaline不整脈と,Oxprenololなどβ遮断薬の作用
- II-24 EI-マウスの痙攣誘発機序に関する心理学的考察(精神疾患)(第14回日本精神身体医学会総会 一般演題抄録・質疑応答(II))
- 7)EI-マウス痙攣のbio-rhythmと伝播性(実験生理)(一般演題抄録・質疑応答)(第12回日本精神身体医学会総会)
- E1-マウス痙攣法による薬物の中枢作用解析動物群集心理学の薬理学への導入(第8報)
- 動物群集心理学の薬理学への導入―4 痙攣誘発のバイオリズム
- 生体への理解が弱い薬学生(学生実習のあり方)
- SARTストレスマウスにおける異常心電図とMethacholine不整脈の発現ならびにOxprenololなどβ遮断薬の作用
- 実験動物の急性毒性におよぼす薬物投与時刻の影響
- 動物群集心理学の薬理学への導入―7 : El-マウス痙攣発症の相互関係と中枢作用薬物
- 動物群集心理学の薬理学への導入-12-マウス1,2,3匹の情動探索行動における向精神薬作用の特異性
- 自律神経失調症モデル(SARTストレス)マウスに対する加味帰脾湯の作用
- El-マウスの飼育環境または振とう条件 (動物群集心理学の薬理学への導入-9,10-)
- 中枢作用薬物についての新検定法 (動物群集心理学の薬理学への導入-1〜3-)
- マウスのfighting episodesにおよぼす第三者の影響 (動物群集心理学の薬理学への導入-1〜3-)
- Studies on brain transamidinase:Studies on central depressants-VI