Propranololの昇圧作用について ―昇圧高と末梢血管の緊張状態との関連―
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概要
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著者らは,先にラットにおいてのみpropranololにより持続的な血圧上昇作用が起こることを観察した,今回は,このpropranololの昇圧作用の起こりやすいある種の血管緊張の状態が存在すると考えられるので,その昇圧作用の起こりやすい条件を検討することを目的として,以下の実験を試みた.1)Propranololによってほとんど血圧変化の認められないモルモットやウサギにα遮断剤を前投与して,収縮性緊張を減少させておいてからpropranololの血圧作用を検討した.2)各種濃度のisoproterenolおよびvasopressinの混合溶液を用いて,spinal ratの末梢血管にβ-receptorを介する拡張性緊張と収縮性緊張との各種の組合わされた血管の緊張状態を人工的にこしらえておき,これらの状況下におけるpropranotaiの血圧作用を検討した.その結果,1)モルモットやウサギにおいても,α遮断剤前処置後にはpropranololにより持続的な昇圧作用が認められた.2)Isoproterenolの一定量と各種濃度のvasopressinとの混合液を持続注入中propranololを投与すると,vasopressinの濃度に比例して血圧上昇作用が認められた.しかし,vasoprcssinの濃度がある濃度以上になると,かえって昇圧高は抑えられる傾向を認めた.以上の結果より,propranololの昇圧作用の発現には,β-receptorを介する拡張性緊張と,それに対応する適度な収縮性緊張の組合わせの存在が必要であることが認められた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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前川 寛
愛知医大
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山本 順之祐
名古屋保健衛生大薬理
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前川 寛
名古屋保健衛生大薬理
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関谷 淳
名古屋保健衛生大薬理
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関谷 淳
名古屋保健衛生大医
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山本 順之祐
名古屋保健衛生大医
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前川 寛
名古屋保健衛生大学医学部薬理学教室
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