妊娠ラットの鉄代謝に及ぼす鉄一中鎖脂肪酸複合体の影響

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概要

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中鎖脂肪酸と呼ばれる炭素鎖が6から12の脂肪酸は,炭酸素鎖がそれ以上長い長鎖脂肪酸に比して吸収は良い.一方,鉄の吸収は悪いことが知られている.われわれは中鎖脂肪酸と鉄との複合体を用いて,著しく貧血状態を示す妊娠後期のラットの鉄代謝に及ぼすその複合体の効果を調べた.用いた鉄-中鎖脂肪複合体は2種類で,炭素鎖が8(C8-Fe)と12(C12-Fe)のものであった.対照には長鎖脂肪酸(C16-Fe)と鉄との複合体とクエン酸鉄を用いた.妊娠14〜20日の間にそれぞれの鉄源を含む飼料を自由摂取させ,20日齢時に屠殺し,肝臓,脾臓および胎児の鉄含量を測定した.また血清鉄含量ならびに血清フェリチン濃度にも検討を加えた.組織ならびに血清鉄含量に差は認められなかった.一方,フェリチン濃度はクエン酸鉄に比して,C12-Feで有意に高まった.しかし全体的な結果から考察すると,中鎖脂肪酸複合体を優れた鉄源と結論づけることは困難であった.

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