キャピラリー電気泳動/エレクトロスプレーイオン化質量分析法による高濃度塩中の金属イオンの水和状態分析
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概要
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天然水中の微量金属の溶存状態を分析するため,まず,その基本となる水和状態をキャピラリー電気泳動(CE)とエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)を組み合わせたCE-MSから検討した.天然水には,ナトリウムなどの塩が多量に含まれていることが多く,これらの塩は,微量金属の化学種の測定を妨害する.金属の溶存化学種を測定するため,試料のイオン化と噴霧が同時に起こるESIの機構が必要であり,CEとの接続が可能なESIインターフェースを作製した.対象金属はストロンチウムとした.1)ESI-MS及びCE-MSで同じストロンチウム水溶液を測定した.CE-MSによる同定結果は,ESI-MSの同定結果と一致したが,さらにCEの泳動液(酢酸)を付加した化学種も検出された.泳動液が試料の化学種に大きな影響を与えることから,泳動液を検討する必要があるとわかった.2)ナトリウム,カリウムが共存する試料をESI-MS及びCE-MSで測定した.ESI-MSでは塩の共存によりストロンチウム化学種のイオン化が阻害されたが,CE-MSではストロンチウム化学種の水和状態が測定された.CE-MSは塩などのマトリックスを排除し,対象となる金属の化学種を検出できることが示唆された.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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