牛乳中の膠質状りん酸カルシウムおよびカゼィンカルシウに関する研究 : 未加熱乳,加熱乳について
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概要
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本報告では,りん酸一カルシウムは水溶性,りん酸三カルシウムは水に不溶性,くえん酸ナトリウムには難溶性,りん酸二カルシウムは水に不溶性,くえん酸ナトリウムには可溶性である性質を利用して,牛乳中の膠質状りん酸カルシウム,加熱による膠質状りん酸カルシウムおよびカゼインカルシウムの変化を研究した.結果を要約すると次の通りである.1. 牛乳の膠質状りん酸カルシウムは,大部分がりん酸二カルシウムと推定される.2. 牛乳を高温,長時間加熱すると,りん酸二カルシウムはりん酸三カルシウムへと変化する.85°Cの加熱では,りん酸二カルシウムが増加するだけであるが,95°Cの加熱では,一部りん酸三カルシウムが生成し,115°Cの加熱では,りん酸二カルシウムは著しく減少し,りん酸三カルシウムの生成が著しく多くなる.3. 牛乳のくえん酸は95°C60分間,115°C15分間の加熱により,一部くえん酸三カルシウムになる.4. カゼインカルシウム中のカルシウムは,カゼイン1g当り平均18.7mgである.5. 大部分の牛乳のカゼインカルシウムとして結合したカルシウムは,95°C15〜30分間の加熱でわずかに増加するが,115°Cの加熱では減少する.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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