乳汁の複合脂質に関する研究 : 3. 牛乳複合脂質の薄層クロマトグラフィーによる分画
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概要
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牛乳中の複合脂質を硅酸クロマトグラフィーあるいはフロリジルクロマトグラフィーで分割し,分割した各画分をさらにTLCによつて分割し,りん脂質,糖脂質について検討した.本実験の抽出条件(牛乳1,500ml,酸沈澱,エチルアルコール:エチルエーテル:C=3:1:1で抽出,クロマト用硅酸50g, Celite 25g,カラム2.3×50cm, C, 300ml, C:M=1:4, 400mlで溶出)ではスフィンゴミエリンを抽出することはできなかつた.したがつて完全な複合脂質とはいえないが,TLCではりん脂質は5成分を分離,糖脂質については一応3成分を検出.した.すなわちりん脂質はケフアリン,レシチンのほかに3成分を検出し,そのうちの2成分はニンヒドリン+(プラズマローゲン,リゾホスフアチジルエタノールァミン?)であり,1成分は-(ホスフアチジルイノシトール?)であつた.糖脂質3成分のうち2成分はCMH(フレノシン,ケラシン?)で1成分はCDHと考えられる.著者らの考案したモリブデン酸アンモニウム(I)は発色および保存性がよいので,試薬はそのつど調製を要するという欠点を除けば,現在までに報告されている複合脂質の発色剤よりも優れている.同様にアンスロン試薬については糖脂質は青緑色に発色し,りん脂質と混在していても検出可能であるので,現在までに報告されている糖脂質の発色剤よりも優れている.
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