乳汁の複合脂質に関する研究 : 5. 珪酸カラムクロマトグラフィーによるりん脂質画分の脂肪酸組成の変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 珪酸カラムクロマトグラフィーの溶出の時間的経過に従つて溶出されるりん脂質の脂肪酸組成が変動するのではにいかと考え,牛乳から抽出したりん脂質を珪酸カラムクロマトグラフィーで分画し,各フラクションを薄層クロマトグラフィーで同定および純度を検定し,ガスクロマトグラフィーでその脂肪酸組成を測定した.2) ケファリン画分とC:M=3:2画分(ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルセリンと考えられる)は珪酸カラムクロマトグラフィーの溶出位置によりあまり差はなかつた.ケファリン画分の脂肪酸組成はおよそC16=8%, C18=11%, GΔ1 18=46%, GΔ2 18=12%であり,ケファリン画分の前に溶出されるホスファチジン酸かあるいはカルジオリピンと考えられる画分はケファリン画分に比べてCΔ1 18が少なく,C18, C23, C24, CΔ1 24が多かつた.3) レシチン画分では不飽和脂肪酸を多く含むレシチンがはやく溶出され,飽和脂肪酸を多く含むレシチンがおそく溶出される傾向があり,溶出初期と後期ではC16が17%と41%,CΔ1 18が38%と21%と大きな差があつた.しかしTLC上ではいずれも同じRfの単一スポットを示した.4) スフィンゴミエリン画分ではTLCで2種のスフィンゴミエリンの存在を確認し,Rfの大なるスフィンゴミエリンははやく溶出し,Rfの小なるスフィンゴミエリンはおそく溶出する傾向があり,前者はC16が12%,C22以上の脂肪酸が65%であつたが,後者はC16が41%,C22以上の脂肪酸が35%という結果が得られ著しい差があつた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- 乳汁の複合脂質に関する研究 : 5. 珪酸カラムクロマトグラフィーによるりん脂質画分の脂肪酸組成の変動
- 乳汁の複合脂質に関する研究 : 3. 牛乳複合脂質の薄層クロマトグラフィーによる分画
- 乳汁の複合脂質に関する研究 : 2. りん脂質の分画定量法および牛乳と人乳のりん脂質量について
- 牛乳中の膠質状りん酸カルシウムおよびカゼィンカルシウに関する研究 : 未加熱乳,加熱乳について
- 乳汁の複合脂質に関する研究 : 1. 牛乳中のりん脂質の定量法