牛の内臓脂肪中脂質および脂肪酸組成に対する品種,性および蓄積部位の影響
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概要
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牛の内臓脂肪組織中に含まれる脂質および脂肪酸組成に対する品種,性および部位の影響を,一定屠殺時体重をベースとして比較した.材料は,黒毛和種(♂:9頭),ホルスタイン種(♂:8頭,♀:2頭)および黒毛和種×ホルスタイン種(F1)(♂:6頭,♀:6頭)計31頭の肥育牛(平均屠殺時性重523kg)から,屠殺時に大綱膜および腸間摸膜脂肪,解体時に腎周囲脂肪を採取し,総脂質含量,脂質組成およびトリグリセリド(TG),遊離脂肪酸(FFA),リン脂質(Pし)の各画分の脂肪酸組成を求めた.総脂質含量は部位によってのみ有意に影響され,腎周囲脂肪で高かった.脂質組成に関しては,TGにおいて部位問の,また,PLにおいては品種間と部位間の変動がそれぞれ有意であった.PL%に関して,F1が他の品種より高かった.部位間では,腎周囲脂肪でTGが多く,PLが少なかった.主要画分の構成脂肪酸は,各要因の影響が有意である場合が多く,しかも,品種間,性間および部位間のおのおのの差異は,いずれの画分の脂肪酸組成にも共通する傾向が認められた.品種間では,黒毛和種がホルスタイン種よりもC18:1,TUSF(総不飽和脂肪酸割合)に富み,これとは逆の傾向が飽和脂肪酸に認められたのに対して,F1は両品種の中間値をとる傾向を示した.去勢牛は,TG画分において,未経産牛よりも飽和脂肪酸が多かった.部位間では,腎周囲脂肪が他の部位よりも飽和脂肪酸に富んでいた.内臓脂肪の脂肪酸組成における品種間や性間の差異は,他の脂肪組織で認められた差異と同程度であり,牛体脂肪の脂肪酸組成は,いずれの脂肪組織も等しく品種や性の影響を受けるものと推察された.
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