市場牛肉の格付等級と理化学的特性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
市場に流通している牛肉の理化学的特性と格付等級との関連を明らかにするために,黒毛和種去勢牛の特選,極上,上,中,並およびホルスタイン種去勢牛の上,中,並に格付けされた部分肉の胸最長筋(6-8胸椎部のリブロース)各6点について,比重,一般的化学組成および脂肪酸を分析した.黒毛和種の特選,極上,上,中および並の試料の脂肪含量の平均値は,それぞれ31.7,23.5,19.8,14.9および10.6%であった.ホルスタイン種の上,中および並での平均値はそれぞれ12.4,7.7および8.5%であった.特選の脂肪含量は他の格付等級のものとは1%以上の水準で有意の差があった.脂肪含量と脂肪交雑評価点との間には両品種ともる高い正の相関が見られた.両品種の脂肪交雑評価点「+2」と「+1」における脂肪含量には統計的に有意の差は認められなかった.脂肪交雑評価点の「+2」と「十3」の脂肪含量には有意差は認められなかったが,他の評価点間では5%の水準で有意差が認められた.比重と脂肪含量との間には両品種ともに高い負の相関が認められた.肉の比重から脂肪含量を求める回帰式は,y=-549x+592,r=-0.93であった.同時に比重から脂肪交雑評価点を求める回帰式は,y=-96.6x+103,r=-0.92であった.このことから比重より胸最長筋(ロース芯)の脂肪含量または脂肪交雑評価点が簡単に求められる.脂肪酸組成は両品種の格付等級間でなんらの相違も認められなかったが,品種間ではC18:1,飽和および不飽和脂肪酸量に有意の差が認められた.脂肪含量とC18:1,および不飽和脂肪酸量との間には正の相関が認められた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
-
小堤 恭平
畜草研
-
小堤 恭平
農水雀畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地
-
安藤 四郎
農水雀畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地
-
池田 敏雄
農水雀畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地
-
中井 博康
農水雀畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地
-
千国 幸一
農水雀畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地
関連論文
- Double-Muscled ウシから樹立された筋芽細胞株でのミオシン重鎖の発現
- 肥育期間中におけるホルスタイン種去勢牛の最長筋肉内の脂肪酸分布について
- 牛筋肉のテンシプレッサーによる硬さの測定
- カラースキャニングスコープによる肉用牛生体の胸最長筋の横断面積および脂肪含量の推定について
- 市場牛肉の格付等級と理化学的特性について
- 黒毛和種,褐毛和種およびホルスタイン種経産牛の枝肉構成と筋肉分布について
- 肥育牛のと殺前の絶食期間中における体重と血液成分の生理的変化
- 黒毛和種およびホルスタイン種肥育去勢牛における各種蓄積脂肪の脂肪酸組成