肉用牛におけるARHの飼料価値について
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概要
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肉用牛に対するARH(Ammoniated rice hulls)の飼料価値を調査する目的で,消化試験および肥育試験を実施した.消化試験は,ホルスタイン種去勢雄子牛12頭を供試し,予備期28日間,本試験期8日間の全糞採取法による間接測定法により行った.基礎飼料は濃厚飼料70%,乾草30%とし,さらに基礎飼料70%,ARH30%,および基礎飼料80,ARH20%の割合に混じた試験飼料について試験を実施した.肥育試験は,ホルスタイン種去勢雄子牛20頭を4区に分かち,各区とも同一養分量を給与し,さらにADMの給与割合で,濃厚飼料80%,稲わら,もみ殼,ARH各20%とした3区と,濃厚飼料90%,ARH10%の合計4区について301日間実施した.試験終了後は全頭と殺し,肉質調査および病理解剖学的検査を行った.結果は次のとおりであった.1) ARH成分のは乾物91.70%,組蛋白質7.37%,粗脂肪1.11%,NFE25.07%,粗繊維37.72%粗灰分20.43%であった,2) ARHの平均消化率は乾物18.91%,粗蛋白質47.05%,粗脂肪100%,NFE23.16%,粗繊維13.29%であった.これよりARHのDCPは3.47%,TDNは13.67%となった.3) 1日当たり平均増体量は稲わら区0.76kg,もみ殼区0.74kg,ARH20%区0.71kg,ARH10%区0.78kgであったが,統計的に有意な差は認められなかった.4) 飼料の利用状況は稲わら区の飼料要求率が良好であったのに対し,もみ殼,ARH区は養分摂敢量が多いにもかかわらず飼料効率は低かった.しかし有意な差でなかった.5) 行動調査からみたARH区の採食時間が他区にくらべ有意に短いことから,稲わら,もみ殼よりも摂取しやすい飼料と考えられた.6) ARH区の肥育中期に鼓脹症が発生した.7) 血液,胃液,尿に関する主な調査結果では特に異常値は認められなかった.またアンモニア濃度も一般的な値より低かった.8) と殺時の主な病理学的検査では,もみ殼,ARH区に軽度のルーメン,パラケラトージスの発生が多く認められ,しかも肝膿瘍を併発しているウシが数例認められた.9) と殺時の肉質調査結果ではARH区と他区の間に有意な差は認められず,ほぼ同様な結果であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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藤田 浩三
広島県立畜産技術センター
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藤田 浩三
広島県畜技セ
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亀岡 暄一
農林省畜産試験場
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景山 晟
広島県立畜産試験場油木支場
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竹中 寛睦
広島県立畜産試験場油木支場
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西村 正美
東広島家畜保健衛生所
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奥田 稔
東広島家畜保健衛生所
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山口 昌己
東広島家畜保健衛生所
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藤田 浩三
広島県立畜産試験場油木支場
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