エストロジェン投与雛の血清ビテリン産生能と血中酵素活性との関係について
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概要
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未成熟雛にエストロジェンを投与することによって,血漿アルカリ性フォスファターゼ(Alp.)の活性が経日的にどのような傾向を示すのか追跡調査し,また血清ビテリン産生能との関係も検討して興味ある結果を得た.供試鶏は新潟県養鶏試験場より導入した4系統(Ra. Fo. Th. G系)の白レグ60日齢雌雛,137羽から記録が得られた.血漿Alp.の活性度はニトロフェノール単位で表わし定量的に測定した.血漿Alp.および血漿Es.のアイソザイムの型を検出するためにポリアクリルアミドゲルを支持体とする電気泳動法を実施した.これにはエストロジェン投与開始前の血液を採取し,血漿を分離して用いた.血漿Alp.アイソザイムではF型,S型の2型を,血漿Es.アイソザイムではF型,S型,FS型の3型をそれぞれ記録した.また血清ビデリン産生能は従来本研究室で扱ってきたエストロジェン投与日数に対する血清ビテリン反応回帰係数bおよび濁度による回帰係数bをもって表わした.1. 血漿Alp.活性度は無処理区では高いが,変動幅が大きくかつ個体ごとの誤差も大きく,一定の傾向は見られなかった.処理区では無処理区に比べ全般的に低く,いずれの4系統も負の有意な直線回帰係数を示し,活性度の減少傾向が認められた.2. エストロジェン処理区の血漿Alp.活性度についてて,二次回帰曲線を求めた結果,4系統のうち3系統は有意な曲線回帰として現われた.3. 血漿Alp.活性度は系統によってはかなり相違が見られるが,G系の活性度は処理区,無処理区ともに他の3系統と比べて非常に低い値であった,4. エストロジェン投与開始後4〜6日頃一時的に大部分の個体が最高値を示し,その後有意に下降する傾向にあった.しかるにエストロジェン投与開始後早く血漿Alp.活性値が最高値に到達する個体ほど血清ビテリン産生能も高いことが推測された.5. 血漿Alp.アイソザイムがF型を示す鶏群の血漿Alp.活性度はS型の鶏群に比べ有意に高く,bおよびbの値もF型群の方が同様に高かった.6. 血漿Alp.活性度は各項目とも系統間で有意な差が認められ特にG系は非常に低い値を示し,血清ビテリン産生能についてもG系は低かった.7. 血漿Es.アイソザイムのS型を有する個体は非常に少なかったが,血漿Alp.活性度およびb,bとも高い値を示すものが多かった.
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