全身化学療法が奏効した門脈腫瘍栓・胆管浸潤合併肝細胞癌の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は61歳男性.2009年6月心窩部痛を主訴に来院,血液検査でT-Bilの上昇,ALP,γ-GTPの高値を認めた.腹部CTで肝内胆管の拡張,門脈本幹および左右一次分枝に腫瘍栓を認め,胆管生検にて肝細胞癌の胆管浸潤と診断した.胆管狭窄部に金属ステントを挿入し減黄を行った後に,IFN-α/5-FU併用全身化学療法を開始した.化学療法2クール終了時にはCTで肝左葉S4主腫瘍が明瞭化し,また門脈内腫瘍栓の縮小とcavernous transformation of portal veinの発達に伴う門脈血流の再開を認めた.そのため同部位に対して肝動脈化学塞栓療法,続いて経皮的ラジオ波焼灼療法を施行し得た.HIV感染症を合併し,診断時点で局所療法の適応のない進行肝細胞癌であったが,IFN-α/5-FUによる全身化学療法により一定の腫瘍縮小を認め,局所療法が可能になった.肝障害のため手術適応がなく,門脈腫瘍栓,胆管浸潤を合併した進行肝癌症例でも腫瘍の局在によっては集学的治療により長期生存を得られる可能性がある.
著者
-
木村 公則
岐阜大学 医学部消化器病態学
-
立石 陽子
がん・感染症センター都立駒込病院病理科
-
木村 公則
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
-
清水口 卓也
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
-
白井 麻紀
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
-
今村 潤
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
-
佐伯 俊一
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
-
來間 佐和子
がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
-
宅間 健介
がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
-
江川 直人
がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
-
林 星舟
がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科
関連論文
- ビリルビン吸着と血漿交換が有効であった, メチマゾールによる高度肝内胆汁うっ滞の1例
- 肝炎重症化におけるIFN - γ産生性CD8+Tリンパ球の役割 - 劇症化の予知の可能性 -
- 経皮的エタノール注入療法(PEIT)後に腹腔内リンパ節転移をきたした小肝細胞癌の1例
- 胃穹窿部静脈瘤併存胃腎短絡路閉塞後の肝機能および門脈血行動態の変化についての検討
- 腸管スピロヘータの感染頻度と臨床病理学的検討
- 複数のSMV-IVC短絡路に対する閉塞術により肝機能の改善を認めた肝硬変の1例
- C型慢性肝炎のインターフェロン難治例に対する治療と管理 (焦点 C型肝炎の最前線:インターフェロン療法)
- 全身化学療法が奏効した門脈腫瘍栓・胆管浸潤合併肝細胞癌の1例
- 食道前癌病変の診断・取り扱い : 内視鏡診断を中心に
- 全身化学療法が奏効した門脈腫瘍栓・胆管浸潤合併肝細胞癌の1例
- 不明熱の原因精査中に発症し, 短期間で急性劇症型の経過を呈した潰瘍性大腸炎の1例
- 専門医への紹介を考える時 (特集 C型肝炎のこれからの診かた) -- (プライマリケア医のためのC型肝炎ポイント集)
- 異所性静脈瘤 直腸静脈瘤の血行動態およびその治療戦略
- 骨髄移植後に出現した門脈圧亢進症の1例
- NBIを用いた門脈圧亢進症の内視鏡診断:—食道胃静脈瘤編—
- 肝動脈門脈短絡に連続する巨大門脈瘤・直腸静脈瘤を有したB型肝硬変の1治療例