解離特性と抑制方略が記憶の意図的抑制に与える影響
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概要
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本研究は,高解離傾向者が特定の記憶を抑制することが困難であるかどうかを修正Think/No-Think課題を使って検討することを目的とした.まず,解離経験尺度によって分けられた,13名の高解離傾向者と17名の低解離傾向者が,無関連な単語対のリストを学習した.次に,手がかりに対応する語を考えないようにする(No-Think 条件)か,再生する(Think条件)セッションを行った(それぞれ0回,4回,または12回ずつ).最後に,手がかりに対応する語の再生を求めた.その結果,解離傾向にかかわらず,代替思考方略使用者は12回No-Think条件の単語対の再生成績が,ベースライン条件の再生成績よりも低かった.さらに,解離傾向得点が高くなればなるほど,代替思考方略を使用する頻度は減るが,No-Think条件で“頭を真っ白にする”ことが分かった.これらの結果は,高解離傾向者もNo-Think試行中に考えないようにするために何か別のことを考えることによって(代替思考方略の使用),特定の記憶を忘却することができるが,多くの高解離傾向者は代替思考方略が使用できないことを示唆している.
著者
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