小児ネフローゼ症候群患者に対する遺伝子組換え人血清アルブミン製剤の使用経験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【はじめに】遺伝子組換え人血清アルブミン (rHSA) 製剤はピキア酵母を宿主とした組換え型人血清アルブミン製剤である。成人肝硬変症やネフローゼ症候群 (NS) 患者への投与報告は散見されるが,小児患者への投与報告は未だない。今回われわれは,小児NSに伴う浮腫に対しrHSAを投与し,主にその安全性を中心に検討した。【対象,方法】2008年9月から2009年1月までNSにて当院で入院加療され,浮腫,尿量低下,循環不全をきたし,利尿剤のみでは症状の改善が得られない状態の患者で同意が得られた6例 (4〜17歳),延べ8例を対象とした。原疾患は,微小変化型3例,巣状糸球体硬化症2例,紫斑病性腎炎1例であり,当施設倫理委員会の承認後に本剤の投与を開始した。投与法は一定ではなく個々人の臨床状態により調整したことから,1日投与量は4〜37.5g,投与期間は3〜22日であった。【結果】本剤投与前の血清抗ピキア酵母IgE抗体はすべての症例で陰性であった。また,rHSA投与後1〜4ヵ月での抗体が陽性化した者も認められず,繰り返し投与によるアレルギー反応はみられなかった。いずれの症例も浮腫の改善,尿量の増加,循環動態の安定が得られ,血清アルブミン値も改善が認められた。【まとめ】今回のわれわれの検討からは,rHSA製剤は小児NS患者の浮腫に対し安全に投与が可能であり,従来の献血由来アルブミン製剤 (nHSA) の近い将来の代替え療法としての可能性も示唆された。今後多数の症例で長期間の検討が必要である。
著者
関連論文
- 小児ネフローゼ症候群患者に対する遺伝子組換え人血清アルブミン製剤の使用経験
- 自己免疫性腸症における抗villin抗体と抗AIE-75抗体の頻度と特異性
- 肥大型心筋症を契機に発見されたinfantile nephronophthisisの1男児例
- 軽微蛋白尿と沈渣中の尿細管上皮を契機に発見された特発性尿細管性蛋白尿症の1女児例
- 急速進行性腎炎症候群を呈した低形成腎/融合腎の1例
- 免疫療法施行下の各種腎疾患患児に対するインフルエンザワクチンの有効性について
- サラゾスルファピリジン治療により汎血球減少を来した全身型若年性関節リウマチの1例
- 小児ネフローゼ症候群患者に対する遺伝子組換え人血清アルブミン製剤の使用経験
- 末期腎不全前に腹膜透析を導入し, QOLの改善が図れた難治性ネフローゼ症候群の1女子例
- 少量タクロリムス療法が有効であった再燃を繰り返す全身性エリテマトーデス症例
- 経時的腎生検を施行したTubulointerstitial Nephritis and Uveitis Syndromeの1例
- 透析導入後も疾患活動性の再燃をみた腎限局型抗好中球細胞質抗体関連腎炎の1小児例
- 過去10年間に学校検尿で見出された予後不良例の検討
- 培養糸球体内皮細胞における転写因子NF-κBの活性化機序
- IgA腎症患者血清由来IgAはフィブロネクチンを介して細胞外基質に沈着する
- マイコプラズマ肺炎の感染を契機に発見された抗好中球細胞質抗体関連半月体形成性腎炎の1例および小児期発症例の文献的検討
- 小児期IgA腎症に対するステロイド療法 : —当科における過去10年間の検討—
- ヒト培養メサンギウム細胞におけるretinoic acid-inducible gene-Iの発現と炎症過程への関与
- IgA腎症に見られる細胞外基質IgA沈着に必要な可溶性フィブロネクチン断片化物の検討
- PFAPAを背景にもつ重症溶連菌感染後急性糸球体腎炎の1例