ビール用二条大麦「サチホゴールデン」の大分県における特性
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概要
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ビール大麦の主産地である豊後大野市緒方町で栽培されてきた「アサカゴールド」は,近年未熟粒やアントシアン粒および退色等による検査等級の低下によりビール大麦として検査に合格しにくい状況であった。「水田経営所得安定対策」の施策下では, ビール大麦として合格しなかった場合,収入が激減することもあり,生産者の作付け意欲の低下を招いていた(2009年産で前年比58%作付減)。この状況を打開するため,早生でオオムギ縞萎縮ウイルスI~III型系統に抵抗性を有し,うどんこ病に強く, やや多収,大粒で外観品質および検査等級に優れる「サチホゴールデン」を選定した。本品種は2010年1月に大分県の認定品種に採用された。「サチホゴールデン」の導入により,かつての産地規模約500ha以上の回復が期待できる。「サチホゴールデン」は栃木県農業試験場栃木分場二条大麦育種指定試験地において,「大系R2442」と「関東二条29号」の交配により育成され,ビール醗造適性に優れ,オオムギ縞萎縮I~III型ウイルス系統に抵抗性を有するビール大麦である。「サチホゴールデン」の大分県における特性と留意点は「アサカゴールド」と比較して第6表および以下のとおりである。1)主な特性(1)出穂期は4日早く,成熟期は3日程度早い早生種である。(2)稈長は同程度かやや短く,穂長は同程度で,穂数はやや多い。(3)耐倒伏性はやや優れる。(4)うどんこ病に強い。(5)千粒重がやや重く,収量は6~11%多い。(6)外観品質はやや優れる。側面裂皮粒はやや多いが,検査等級との相関はなく,格落ちの理由にはなっていない。2)栽培上の留意点(1)早播きすると凍霜害や側面裂皮粒がやや発生しやすくなるため,適期播種(11月下旬~12月上旬)に努め,中間管理(踏圧,土人れ)を徹底する。
- 2010-03-00
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