育成期間の粗飼料給与量が黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響

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育成期間の粗飼料の給与水準が，黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響を明らかにするために試験1と試験2を行った.試験1では5ヵ月齢で離乳後10ヵ月齢まで，育成用配合飼料とイタリアンライグラス乾草(以下乾草)を自由摂取させたLR1区，育成用配合飼料を体重の1%として乾草を自由摂取させたHR1区を設けた.肥育期間の飼養法は両区とも同じであり，肥育前期(5ヵ月間)は飼料給与量をDG1.1kgに要するTDN量とし濃厚飼料と乾草のTDN比は65:35とした.肥育中期(5ヵ月間)は飼料給与量をDG1.1kgに要するTDN量とし濃厚飼料と乾草のTDN比は80:20とした.肥育後期(8ヵ月間)はDG1.1kgに要するTDN量とし濃厚飼料と乾草のTDN比は90:10とした.試験2では5～10ヵ月齢の育成期間(5ヵ月間)は，育成用市販配合飼料と乾草を自由採食させた区(LR2区)，育成用配合飼料を体重の0.7%，大豆粕を0.3%とし，乾草を自由採食させた区(HR2区)を設けた.肥育期間は2区とも同様に飼育した. 肥育前中期(10ヵ月間)は飼料給与量をDG1.1kgに要するTDN量とし濃厚飼料と乾草の比率は85：15とした.肥育後期(8ヵ月間)は飼料給与量をDG1.1kgに要するTDN量とし濃厚飼料と乾草の比率は90:10として肥育した.1) 育成期間の飼料摂取量は，HR1区がLR1区に比較して，またHR2区がLR2区に比較して乾草摂取量が多く濃厚飼料摂取量が少なかった.試験1で，肥育前期にHR1区の乾草摂取量がLR1区より有意に多くなったが，肥育中期と後期は両区に有意差がなかった.試験1と試験2ともに濃厚飼料摂取量は肥育期間を通じて両区に有意差がなかった.育成期間の日増体量は濃厚飼料の摂取量が多かったLR1区がHR1区より，LR2区がHR2区より大きかったが，肥育期間はHR1区とHR2区が大きい傾向を示した.2) 育成期間の粗飼料給与水準は皮下脂肪厚を除けば枝肉成績に大きな影響を与えなかった.胸最長筋の脂肪含量，肉色の値も育成期間の粗飼料給与量の影響は認められなかった.3) 枝肉中の筋肉，脂肪重量に区間で有意差は認められなかったが，HR2区の骨重量はLR2区と比較して有意に大きくなった.またHR1区はLR1区に比較して，HR2区はLR2区に比較して枝肉中の骨割合は多く脂肪割合は少ない傾向を示した.4) 育成期間の粗飼料給与量は，試験1と試験2ともに消化管重量，内臓脂肪重量に影響を与えなかった.以上より，本試験において，育成期間の粗飼料多給は，肥育期間中の増体を向上させ，枝肉構成割合に影響を与えることを示した.
2011-02-00

育成期間の粗飼料給与量が黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響

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